豪運 突然金持ちになったんですけど、お金の使い方がよくわかりません。

マリブコーク

第1話 豪運を手に入れた男

なんの取り柄もないフツーの大学生、霧島あきら。

幼少のころから運がいい子供だったとは思う。

商店街のくじ引きで旅行を当てたり、定期テストで張ったヤマが大当たりしたり。


でもあくまでも運がいいような気がする。

といった程度。

運が悪いよりはいいだろというくらいにしか思ってなかった自分の幸運体質。


そんな霧島の日常。



~~~~~~


「なんかいいことないかなー」




そんなつぶやきを頭の中で思い浮かべつつ、今日も大学の講義を受ける男、霧島こと私。




高校時代それなりに勉強ができ、それなりに要領が良かった私は、普段の成績から見れば御の字の関西の国立大学に進学した。


なんとなく外国に行きたいなーなどと思いつつも、大学で語学をメインでやるのは楽しくなさそうだと思い法学部に進学したもはいいが、覚えること、理解することが多すぎて少し後悔をしている。


弁護士になるつもりもなく、法律関係の仕事に就くことも全く考えておらず、就活は大学のネームバリューでなんとかなるだろうと甘いことを考えている、どこにでもいる普通の法学部の2年生。




適当なサークルに入り、テストが近くなると過去問の入手に腐心し、何もない日はアルバイトに勤しみ、貯金はそこそこでないよりはマシといった程度。


アルバイトは塾の講師をしているが、難しい問題が教えられるわけでもなく、理系強いわけでもなく、学習塾からの講師力の評価は良くも悪くもなく。


当たり障りなく、生徒のカリキュラムをしっかり進めていく。

最近の中高生には、面白みもなく無駄話もしないそのドライさがちょうどいいのか、

逆に生徒からも親御さんからも評判は上々。

上々というよりはむしろ、やりやすい

の方が近いかもしれない。


程よくうっすらの人気なためか、塾の教室長からは「就職してよ~」と言われている。

こちらも当たり障りなく躱す。

まぁ、もとより向こうさんもそんなに期待なんかしてないか。



趣味の旅行は半年に一回ほど行ければいく。



一人暮らしの生活にも慣れ、大学の手の抜き方も把握し、持ち前の要領の良さでうまいことやってるという自負はあるが、どうも刺激が少ない。


そんな4月の初旬で、履修した講義をいつも通り去年と同じ窓際最後列で受けて、ぼーっと窓の外を眺めていると今後の私の人生を変える出来事が起きた。

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