第27話 霧島 変わらない日々を過ごす。

起床した私は、朝食をとろうと思ったが、

食料の類は熱海で買ってきたお土産の類しかないことに気がついた。






「まあこれでいいか…。」




買い置きしていたコーヒーを淹れ、箱根の森バウムの封を切り、それを朝食をとすることにした。




「さて、今日は何しようかな。」




大学生にしては (大人を含めたとしても)、かなりの大金を持っている私。

しかし、その実はほんの最近お金を手にしただけのただの学生である。




であるがゆえに、1リットル当たり6kmという、自車の燃費が気になっていた。


下道を走れば、新車で購入してまだ日が経ってないこともあり、メーカー公表値に少し近いが、実質4.5kmといったところだろう。






大量のお金を持つと、大きな出費というものはあまり気にならなくなってくる。


お金を使っているという感覚があまりないのである。




しかし、車を動かせば毎回のようにガソリンを補充する必要があり、なおかつハイオク燃料しか食べませんと言われた日には、さすがの大富豪の私でも少し考えるものがある。




なにせ、一度外出をすれば、ガソリンスタンドで満タンにすると燃料代だけで軽く数万円を突破するのである。






「なんか燃費のいい車探してみるか。」




そう考えた私は、身支度を整え、駐車場に向かった。




ちなみに、本日の霧島の服装は、グレーのニューバランスのスニーカーに、白のデニムを合わせ、上は黒のポロシャツを着ている。


お気に入りのオリバーのサングラスも忘れない。




私は、そんな服装を最近では気に入っている。夏は重ね着をする気分に、一切ならないのでポロシャツにデニムという恰好が多い。


はたから見れば、少し裕福な?普通の大学生に見えるかもしれないが、大富豪にはまるで見えない。






「梅田やら難波まで行くついでに服も買っとくか。先にコンビニ行ってお金おろしてガソリンスタンドいかないと…。」




コンビニで、とりあえず99万円おろしてきた。

ちょっとした夢だった。

限界まで下ろしてみるの。




「感覚がいよいよ普通じゃなくなってきた気がするな…。」

なんのためらいもなく上限いっぱいの札束をATMから取り出して思う。



愛用のポルトフォイユに入るだけぶち込み、残りはセンターコンソールに収め、

ガソリンスタンドに寄ってから車を梅田方面に走らせた。







まず私がやってきたのは梅田のハービスに居を構えるGUCCI。




「ここは駐車場がついてるのがありがてえ。」




そんなことを考えながら、グッチのキャンバスメッセンジャーバッグ、シャツ、Tシャツ、ポロシャツ、デニムを買った。

爆買いである。




会計の際に、店員さんがしきりに、新作情報などの配信サービスへ加入することをお勧めしてくれたので会員登録をしておいた。

ついでに駐車券の処理を店員さんにしてもらうことも忘れない。


会計を済ませた私は、地下にオリバーピープルズの店があることを思い出し、店に向かう。




店に入ると店員さんからあいさつをされたが、それがわからなかったほど一つの商品に私の目がくぎ付けになった。


普通の色付きサングラスなのであるが、好みのデザインど真ん中であったため即決で購入。




自分の顔の形に会うように調整をし、会計を済ませるとそのままつけて店を出た。

もともとつけていたオリバーのサングラスは、今日買ったオリバーの箱に入れて持って帰ることにした。


ざっと建物のテナントをひととおり冷やかした後、車を駐車場から出す。




「さて、次はどこに行こうかね。」

次に向かう場所を考える。





適当にドライブをしていると思いだした。



「夏のサンダルがほしい」

サンダルといえばここでしょう!ということで心斎橋のビルケンシュトックに来た。



車はいつも止めている長堀の駐車場だ。

ここは収容台数が多く、料金もそれなりで、大きい車にも優しい広さなのでいつも利用している。




店に到着した私は、店員さんからのあいさつを受けつつお目当ての商品を探した。

かねてより私がほしかったのはオイルドレザーを使用したタイプのボストンというモデルだ。

昔は雑誌などで見かけることしかできなかった。




お目当てのモデルを見つけた私は、

これこれ!と思いつつブラックのサンダルを買おうとしたが、その隣に色違いの同じ形のものを見つけた。


そのタバコブラウンという色の色味と珍しい名前に心が引かれて、そちらもブラックと合わせて購入した。




さらについでとばかりに、部屋履き用・普段履き用としてもう2足、チューリヒというモデルのブラックとキャメルも購入した。




「これで夏のサンダルは問題なしだな。」


私は満足した。






朝から昼食も取らず、動きっぱなしで少し疲れてきたのでどこかでお茶したいな、などと女子のようなことを思いつつ、歩きながら店を探す。




アーバンリサーチやZARAの近くを歩いていると、ふと気になってもう少し堺筋のほうに向かって歩いてみた。

するとほんの少し進むと、ステーキ屋さんが見えた。




ステーキのことを考えると唾液が口の中いっぱいに込み上げてきて、生唾を飲み込んだ。




迷わず店の中に入り、店員さんに人数を1人だと告げ、カウンター席に案内された。


こんないいステーキ屋さんを見つけられたし、しかもカウンター席だなんて運が良すぎる。


うれしく思ってコースランチをいただいた。




前菜から宮崎牛のローストビーフが出てきたり、魚介もでてきたり、もう最高すぎるランチだった。


メインディッシュは150gの宮崎牛ロースのステーキが出てきた。


久々に肉食べるけど、肉が溶けるってこんな感じなんだーなどと思いつつ箸を進める。






「最高すぎる、これで6000円でおつりが来るとか絶対また来る。」




ランチで6000円は普通に考えてかなり高いが、そんな誓いを立てて店を後にした。






「さて、次はどこに行こうかね」




そう考えた私は、とりあえず買った4足のサンダルを車に置きに行った。




車に向かっている最中に大丸の大きなビルが目に入り、大丸でも行ってみるか。と思ったため、車に荷物を置くとすぐに大丸へ。




大丸に入ると、外国人観光客の多さに圧倒されるが、ここは我慢とばかりに、霧島はブルガリやロエベ、セリーヌなどをめぐるが、あまりピンとくるものはない。




「これなら阪急メンズ館に行ったほうがよかったかな。」




なんとなくうまくいってない。そんなことを考えつつ、愛用のロレックスを見るとそろそろ16時になるなという頃だった。




「あ、車屋さん行くんだった。」


一番の目的をやっと思い出した霧島は駐車場まで戻って車を出し、車屋さんに向かう。




燃費をどうこういうんだったらBMWかな…




BMWにはiシリーズというハイブリッドカーの展開がある。

それなら今の車よりはよほど燃費がいいだろうと思い、車を梅田のBMWショールームに走らせた。

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