第113話


「よし、それじゃ行きますか!」




「よーし!レッツゴー!」




日の丸カラーのランボルギーニUNICOを出発させる。






行程は2週間を予定しており、その道中で様々な高級ホテルに泊まり、イビサ島そして最終目的にの大阪を目指す。


さて、道中でどんな楽しいことがあるのだろうか。






そこからの2週間は怒涛のように過ぎていった。


気づけばあっという間にイビサ島に到着していた。






「もうイビサ島だってさ。」




「早かったね。」




「うん、ほんとに早かった。


文字にしたら2〜3行でおわっちゃうくらい。」




「文字…?」




「いや、なんでもない。」




「???あきらくん変なの。」




最終日の前日にイビサ島入りした俺たちはイビサ島を楽しんでいた。


泊まるホテルはDASYデイジー。


聞いたこともないホテル名だろうが、それもそのはず。


ダニエル、あきら、清水、中村さんの4人の名前から一文字ずつもらって名付けた我々のグループのホテルだからだ。


つまりホテルの歴史はごく浅く、ごくごく最近始まった。


なおこのホテルグループはガムボールのために創設した。




ここで我々のグループについての近況を説明しておく。


自分と、清水と、中村さんと、ダニエルはもともとそれぞれいろんな企業を持っていた。


そしてそれらは最初は緩やかな企業連合体だったのだが、4人が出会い意気投合するにつれ繋がりは増していき、今では強固な絆で結ばれる同一グループに属するようになっている。


グループ名は特にない。


一時期名前があった時期もあるが、みんなは「結局霧島のところに俺たちは集まった。」という意識があるため、霧島会という名前にしようという流れができてしまい、なんとなく気恥ずかしくて名前は無くなったのだ。


このグループのルールは、単純にお互いがお互いのグループの株式を持ち合って互いに助け合うということのみ。


しかし、実際のところ、みんながみんな俺のとこに株式を渡してくるのがよくわからん。


グループ全体の株式の40%を弊社が所有しているのはどうしてだろうか。


そのおかげか、グループは急成長に次ぐ急成長。すでに金が金を生む状態。




ガムボールが始まってから数日経った頃、ひとみとたまたまその話になり、エマに現在の資産状況を聞いてみた。






「エマ?今の俺の個人資産っていくらくらい?」




「14兆円くらいですかね。」




「えっ。」




「グループ全体の売上高は今のところで25兆円くらいでしょうか。」




「え、なんで?」




「まずボスの個人資産ですが、当グループには上場していない会社も数多くあります。


もちろん上場している会社もたくさんありますが。


それらの株式の40%。


会社によっては60%以上を保有しているものもありますので。」




「法的には大丈夫なの?」




「すべて問題ないように手配しております。」




「そ、そう。」




「ですので何も心配なさるようなことはないかと。」




「ちなみに今の個人資産だとファイブスの何位くらい?」




「3位くらいですね。今世界的に好景気なので。」




「さ、3位…。


ちなみに1位はいくらくらい?」




「19兆円くらいですかね。


この成長具合だと次回のファイブスのランキングでは1位になると思います。」




「わ、わかりました。


ありがとう。」




「はい。失礼いたします。」






しばし放心状態。




「あきらくんいくらだった?」




「14。」




「ん?億?減った?」




「兆。」




「兆。」




「そう、兆。」




「すごいなぁ…。


すごすぎてピンとこないよ…。」




「ほんとだな…。」




「でもそれがあきらくんの頑張りの証だね!」




「そうなの?何も頑張ってないよ。」




「頑張ってるって自分で思ってたら多分そこまではいけないと思う。


他の人から見たらすごく頑張ってるように見えても、自分では頑張ってると思ってないから、そんなに大成功してるんじゃない?


私からみたらすごい頑張ってると思うよ?」




「照れちゃう。」






そんな益体も無い、最近の出来事を思い返しながら、ランボルギーニを転がす現役大学生。


世も末である。






結局今日は朝の最終日に備えてホテルに帰って大人しくした。




ひとみは最終日のドレスアップに向けて余念がない。


なんでも最終的なパーティーではクラブの聖地イビサ島ナンバーワンのクラブを貸し切って一晩中遊び狂うらしい。


酒が足りるかどうか少し心配だ。










そして夜が明ける。




「最終日がスタートしたね!」




「そうだな。いっちょド派手に行こうか!」




「そうこなくっちゃ!」




そうして乗り込んだ車はアストンマーチン ヴァルキリー。




先日購入した車たちの中で一番高価な車だ。




「さすがあきらくん、用意周到だね。」




「もちろんよ。」




今回のガムボールでは計4台を乗り継いでいる。ミコノス島を出るときにUNICOは乗り捨てて先にイビサ島に送ってもらった。


そしてイビサでは、受け取ったUNICOを乗り回していたため、他の参加者もUNICOで最終日を迎えると思われている。




ところがところが、蓋を開けてみれば最終日の霧島はヴァルキリーで登場する。周りのみんなはあらあらびっくりといった具合だ。






「さて、行きますか!」




「はーい!!!」




こうして最終日のパレードが始まった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る