第38話
マカオ2日目の幕が開けた。
今日の私には相棒が2つ追加された。
昨日買いあさったもののうちの2つである。
1つはフェンディのクラッチバッグだ。
ホテル内の移動や、カジノへの移動など、ちょっとした移動が多いので、その時の見栄えを少しでも良くするためにクラッチバッグを買った。
小さめの持ち歩きやすいバッグは既に何個持っているかわからないがこういうのはいくつあっても素晴らしい。
セレリアクラッチバッグというもので、見た目の割に中々のの収納量を誇り重宝しそうだ。
もう1つはルイヴィトンで、黒のモノグラム柄のチビ財布である。
霧島は、なんか最近流行ってるらしいし、あの大きい財布持ち歩くより便利そうだなと思って買ったものだ。
ポルトフォイユブラザはデカすぎる。
これが、このチビ財布、中々受けが良い。
ひとみに写メをラインで送ってみたところ、かわいいとのお褒めの言葉をいただいた。
もちろん即買いした。
セレリアに携帯、デカ財布、チビ財布、タバコ、財布に入りきらなかった現金を入れ、まずクラブラウンジに向かった。
朝食を取るためである。
レストランの朝食より、少し豪勢で、サービスはもっと良い、クラブラウンジの朝食をとった霧島は、昨日とは違うカジノに向かった。
そう、ベネチアンマカオだ。
ギャラクシーからベネチアンマカオは歩くと20分くらいなので少々かかってしまう。車で向かうことにしよう。
フロントでタクシーを用意してもらい、ベネチアンマカオに向かった。
ベネチアンマカオにつくと、その威容にワクワクしてきた。
飲まれるのではなくワクワクできるということは
ベラージオやシーザーパレスでの経験が生きているようだ。
ベネチアンマカオは、ベネチアの名を冠するだけあって、やはり運河に囲まれている。
そもそも、ベネチアンマカオのカジノは大きさとして世界最大であるので、それもまた致し方ない。
中に入ると、流石の私でも少しビビった。
もう天井から壁から、何から何まで豪華すぎるのだ。
流石に自分場違いなんじゃないかとも思ったが、今日の私は、ベネチアンマカオを潰す勢いでむしり取りに来ている。
気を取り直して、カジノのメンバーズカードを作成し、入場した。
するとすぐに、黒服のマネージャーが現れ、VIPルームに案内された。
「こんにちは、霧島様。
私はマネージャーの黄《ファン》です。
昨日あなたがギャラクシーカジノで大勝負をなさった話は伝え聞いておりますので、是非ともVIPルームへ。
また、ラスベガスのダニエル様からもお話を伺っております。
当ホテルの姉妹ホテル、パラッゾにご宿泊いただいたことも、モートンから伺っております。
いつもご利用ありがとうございます。」
「ありがとうございます。
姉妹ホテルとは知りませんでした。
知ってたらここに泊まったのに。」
「よろしければお部屋をご用意いたしましょうか?
今でしたら、オーナー専用の部屋が空いておりますのでご案内できますが。」
黄は冗談めかしてそう言った。
「もしこのカジノを買収出来るくらい勝ったら泊めてもらいますよ。」
私も、そう冗談を交えていると、VIPルームに到着した。
やはりVIPルームというだけあって、ミニマムベットがとんでもなく高い。
チップ一枚2000万円なんていうチップもあるようだ。
黄に連れられVIPルーム (ルームといってもフロア全体がVIP専用なのだが) に入ると、ホールがにわかにざわついた。
「中には霧島様の昨日のご活躍やラスベガスのお話をご存知の方もおられるようですね。」
黄がそう言うと、逆に考えてみればそれはそうだなと思っていた。
何せここ数日でとんでもない大金を稼いでいるのだ。
伝わっていない方がおかしい。
ダニエルの友人ということもあり大目に見てもらってる感が多分に否めない。
一応稼いだ金は、稼いだところの周辺でかなり使っており、経済を多少回してきたという自負はあるが、いかんせん勝ちすぎた。
しかし、今日はその数日の稼ぎとは比べ物にならないくらい稼ぐつもりでいる。
ホテルのエントランスや、カジノの調度など見て、遠慮する気持ちが吹っ飛んだのだ。
「こりゃ相当持ってるぞ。」
「とりあえず、今日は1日粘ってかなり稼ぐつもりなので、出来るだけたくさんの現金を用意しといてくださいね。」
霧島はニコッと笑って言ったが、それを聞いた黄の顔もにっこりだったが首筋に垂れる一筋の汗。
俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
とりあえず私は、自身が一番得意であるルーレットに向かった。
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