第21話
「は!?!?!?
え!?!?広!?!?!?
しかも最上階!?!?!?」
「結城さん。こちら。絶景。」
「あら、絶景。
ってそうじゃなくてさ!!!!!」
「まぁ気にすんなよ。ゆっくりしようぜ。」
「は、払えるかな…。」
「お前は金の心配ばっかりだな。」
「まぁそりゃ、あきらくんだけに払わせるわけにもいかないし、そういう女と思われたくないし。ちゃんと金勘定できる女アピールしときたいし、お母さんからもそう言われてるし。」
「え、ひとみさんお母さんに俺のこと話したん?!?!」
「うん、やっと付き合えたって話したら、ちゃんと先のことも考えてるなら金勘定がちゃんとできる女ってことアピールしときなさいよって。
あんたケチなんだからそこもアピールポイントよって。
まぁ曲がりなりにもうち資産家だから、お金に関しての教育は結構小さい頃から受けてるんだよね。」
「そうかぁ。じゃあ近いうちにご挨拶行かないとなぁ。そういえば実家どこだったっけ?」
「あ、言ってなかったっけ?芦屋の六麓荘だよ。」
「それらの話を総合すると、ひとみはかなり昔からの資産家で、大金持ちということがわかった。」
「まぁでもこのことはみんなには内緒ね。
こんな美人で大金持ちってわかったら、いよいよなんかされちゃうかもわからないし。」
「はいはい。」
この全身からあふれでるオーラを持つ、素敵な彼女なら自分の秘密を打ち明けてもいいかもしれないなと思っていた。
部屋で、部屋着に着替え、そんな世間話をしていると仲居さんが晩御飯を持ってきてくれた。
「お、晩御飯きたよ。予約してくれてたの?」
「そうそう。8時くらいに持ってきてくださいねって。」
界熱海本館では部屋食が楽しめる。
2人は熱海の海産物に舌鼓をうち、大いに楽しんだ。
ご飯も進み、デザートが来たところで私は結城に秘密を打ち明ける決心をした。
「さっき、ひとみ、資産家っていう秘密を一つ話ししてくれたじゃん?
だから俺も一つ秘密を打ち明けようかなって思ってさ。」
「なになに、かしこまっちゃって。
いうてみいうてみ?お姉さんが聞いてあげる。」
「歳変わらんだろうが。
実はさ、俺かなりの資産家なんだよね。
親じゃなくて、俺。」
「は?おぉ、そんで?」
「ぶっちゃけ総資産400億くらいあって、現金でも口座に10億くらいある。ほんで、本町駅にマンション買った。そのマンション来年3月完成で入居予定。」
「ちょっと待って、情報多すぎ。
てか資産やばすぎだし現金多すぎ。」
「あれ、あんま驚かないのな?」
「確かに学生にしちゃ、というか個人資産としてはかなり多いけど、そんな身を持ち崩すくらい驚くほどでもないでしょ。多いといっても結城家の総資産とは0が二つくらい違うし。」
「結城家しゅごい。」
霧島はひとみのその話を聞いて逆に私の頭がくらっとした。
0二つって尋常じゃない。兆じゃん。え、兆っていくら?
え、一万円札が何枚?
は?六麓荘?大邸宅じゃん
ちなみに先ほどひとみが言っていた芦屋の六麓荘町とは日本有数の最高級住宅地で、家の敷地面積など自治会によって細かく決められており、セレブの集う町。日本のビバリーヒルズとも呼ばれる。
「まぁ会社の資産も含めてって感じだけどね。
マンション開発とかマンション販売とかもやってるし。
あきらくんが買ったマンションも本町なら多分うちが販売・施工に入ってるやつだし、私もそこに住もうかなと思ってた。」
まさかのご近所さんになる人近くにいた。
いや、まだなると決まったわけじゃないけど
「いや、でも話してよかったわ。肩の荷が下りた感じ…。」
「私もさっき実家の話しした時肩の荷が下りた感じしたよ。
やっぱお金の話って大事だし、そういう価値観が合うか合わないかって結構気にするよね。」
「そうだよね。
特に元カノとはお金のトラブルで別れたから、そういうことにナーバスになってたんだ。
しかも俺は昔からの金持ちじゃなくて、株で一山当てたタイプの成金だからさ。」
「私は、うちみたいな昔からのいわゆる『名家』よりも成金の方が好きだよ。
その方がバイタリティあるし、才能でのし上がって来た人だから、一度崩れてもまた立て直せると思うし、なおかつ話きいてて楽しいもん。
てかあきらくん株なんだ!
努力だけじゃなんともならないところだから本当にすごいと思う。」
「いやいや、本当に運だけだよ。
買い方は少し気にしたけどね。どっちかが損したらどっちかが儲かるような組み合わせで買ったり。」
「へぇー、そういうのあるんだ。
やっぱり自分とは違うジャンルのお金持ってる人の話はきいてて楽しいね!」
私は自分の秘密が打ち明けられたことで安心していたし、お金の出所を説明できたことで後ろ暗いことはしてないということが説明できてよかったと思っていた。
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