第46話
プントバンコの卓を立ち、カジノ内を探索する。
「そういえば、ここのカジノは00シリーズで何回も見たよなぁ。」
ブリオーニのオーダースーツ着て、ジョンロブの靴履いて、時計もロレックス。
まぁ本家の時計はサブマリーナだし、今の映画はオメガだからちょっと違うか。
それでも映画の中に入ってきた気分だなぁ…。
この素晴らしい建造物と、それを維持する努力、そして客に夢を与える華やかさ、それらの全てが好きになった。
ちょっと夕食に、とカジノモンテカルロの中にあるル・トレインブルーに向かい食事をする。
ル・トレインブルーはオリエント急行をイメージしたレストランで、店内の雰囲気も、カジノと同じベルエポック調でよく調和している。
食事を済ませた後は店員さんに、他にもオススメの店をいくつか紹介してもらったので、明日はそこにも行こうと思いつつ店をあとにする。
オテルドゥパリの部屋に帰っると、今日着ていたスーツをホテルのクリーニングサービスに出し、靴をシューケアサービスに出す。
ゆっくりとシャワーを浴び、備え付けのバスローブを着込み、満足のままふかふかの最高級ベッドで寝る。
大阪に帰ったら家のベッドを買い換えようと思いながら。
翌日、ゆっくりと目を覚ました私は熱めのシャワーを浴びて体を活動できる状態にする。
フランスでは朝は軽めに済ませるのが主流だ。モナコもその例外では無く、基本的にホテルの朝食は充実しているとは言い難い。
しかし、高級ホテルともなれば、その例には当てはまらない。
いろんな国の人が来るので結構充実している。
朝から割と豪華な食事を頂き、行動を開始する。
ホテルのスパで体をいたわり、プールで泳ぐ。
程よく汗を流したところで併設のプールバーにて体を休める。
余談だし、自分で言うのもちょっと恥ずかしいのだけど、私の体は、ゴリゴリの筋肉達磨ではないが、かなり引き締まっている。
車移動が増えたため体を動かさなくなり、全体的に緩んできたとひとみに指摘されたことから、隙間時間でなるべくジムに通うようにした。
ジムで体を鍛えるためのモチベーションとして何かスポーツを始めることを勧められ、小6まで続けていたゴルフを再開したりもした。
普段の足に使っているレクサスの荷物スペースにはゴルフバッグとゴルフシューズが積んである。
いつでもゴルフできるように。
そんな引き締まった体をした長身で黒髪のアジア人が一人でプールバーにいると、なかなかに目を引くらしい。
ブロンドの女神のような美しい女性や、赤毛で活発な印象を受ける素敵な女性からたくさん声をかけられたが、そもそも私自身がそこまで肝は座っていない。
軽く会話し、その場の雰囲気を楽しむことにとどめておいた判断は堅実で賢明だっとと思おう。
バーテンダーから、せっかくのお誘いなのにもったいないと苦笑いされるが、
「余り押しの強い女性は苦手でね。」とおどけておく。
そうこうしているうちに昼前となったところで、プールから上がりシャワーを浴びて町歩き用の格好に着替える。
モナコの街にふさわしくあるように、タリアトーレで買った、麻でできた上品なサマージャケットを羽織り、オリバーピープルズのサングラスをかける。
ドアマンにフェラーリ488ピスタの鍵を渡し車を受け取る。
車を駆り、向かったのはエルメス。
財布とバッグを買うためだ。
昨日カジノに行って気づいたが、ポルトフォイユブラザは普段使いにはちょうど良い大きさだが、タキシードなどのスーツスタイルには少し大きすぎる。
外から見て財布の盛り上がり方がシルエットに響くのだ。
内ポケットには入ることは入るが、かなり胸が膨らんでしまうし、手に持つというのもどことなく不恰好。
クラッチに入れて昨日は持って行ったが、どことなく居心地が悪い。
そこでスーツ用の財布を調達しにきたのだ。
買うのはもちろんベアン 。
何より薄くて持ちやすい。
エルメスらしいデザインで、キーケースとお揃いにしたいのだ。
ちゃんと店にあるかどうか緊張しながら到着した店に入り、ベアンを物色する。
店員さんに声をかけると、なんと特別に限定品のベアンを出してくれるということになった。
店員さんが持ってきたのはサックスブルーのベアンだった。
一目見てなんとなくその色がとてもモナコらしく思えて惚れてしまったので、すぐに購入。
バッグを見るがバーキンの小さいサイズしかない。
また同じ店員さんに、バーキンの大きいサイズはありませんか?と聞くと
実はまだ入荷したばかりで店頭に出してないものがエトゥープ色ならあるとのこと。
サイズを聞いてみると50サイズだという。
これよりでかいのを買うならオータクロアというバッグを買ったほうがいいとのこと。
奥から出してきてくれたので、ためしに持ってみると、体格が良い自分には、普段使いとしてちょうど良く見える。
これも即購入。
ちなみに、バーキンとのサイズ比較で出してくれたオータクロアのカーゴというシリーズも買った。
カーキ色のキャンバス地の部分とレザーの調和が素晴らしい。
サイズは60なので、主に旅行鞄になる予定。
めちゃくちゃでかいが、私が持つとそんなに大きく見えない。
ヴィトンのボストンバッグ抱えてる感じ。
値段をはもう聞かない。そんな野暮なことはしない。
大事に使おうと心に決めて持ち帰る。
ピスタの助手席に大きなエルメスのショップバッグを置きドライブがてらホテルに帰っているとトムフォードを発見。
すぐに車を置き、服ではなくサングラスを物色する。
最初にお金ができたときにサングラスを買ったように、無類のサングラス好きだと思われがちである。
しかし、実際のところはサングラスが好きというよりは、小物好きという感が強い。
店内で、普段使っているものよりレンズの色がだいぶ濃い黒のサングラスを発見。
ためしにかけてみる。
自分が思っていたよりも違和感なく受け入れられる。
結局、黒のSNOWDONともう一つパイロットタイプのAARONというサングラスが気になった。
特に具体的に使い道を考えたわけではないが気に入ったため購入。
購入した後に気づいたが、見る人が見たら一発でわかるレベルの00オタクファッションになってしまったと後悔する。
しかしそれも、気に入ってしまったのだから仕方ないと割り切る。
先ほど買ったばかりのSNOWDONとオリバーのサングラスを交換し笑みを浮かべながら次の目的地に向かう。
昨日行ったレストランル・トレインブルーできいたリロンデルというレストランである。
リロンデルではマーケットメニューというシェフのおすすめを食べる。
本日のシェフのおすすめは、メバルのアクアパッツァであった。
白ワインの香りとオリーブの香りがなんとも芳しく脳髄を刺激する。
思わずワインを注文しかけたが、車で来ていることを思い出し、踏みとどまる。
自身の宿泊する部屋に帰ると、早速ベアン の中に紙幣とクレジットカードを入れる。
入れてみるとわかるが、なかなかに容量が大きいことに驚いた。
200ユーロ紙幣を持っているだけ入れてみると、ちゃんと入ったので、大満足である。
ベアンには1万ユーロだけ残し、残りはポルトフォイユブラザに移しセーフティに入れておく。
カジノに行くにはまだ早い時間だったので、フロントに連絡しアフタヌーンティーの準備をしてもらう。
部屋のテラスで地中海を眺めながらアフタヌーンティーを楽しむ。
初日は気づかなかったが、食器にもかなり気を使っていることがわかり、本日の食器は全てリチャードジノリだった。
落ち着いたところで
ホテルのランドリーから受け取った勝負服に身を包み、ベアンを内ポケットに装備する。
「完璧。」
お気に入りの勝負スタイルで満足した私は今日もカジノモンテカルロに行く。
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