第18話 霧島、スーツケースを買う。
「あ、あきらくんおはよ!隣来る?」
「お、ひとみおはよ。じゃあ隣で受けようかな。」
この2人のやりとりを見た講義室内の生徒はざわついた。
曰く阪大最後の優良物件がなくなった
曰く阪大のマドンナが入居した
曰く霧島の野郎…!
など、阿鼻叫喚とまでは言わないまでも、なかなかに大きな騒動となった。
2人は予想外の周りの反応に驚いたが、悪乗りしたひとみが私の腕を取り彼の肩にもたれてみせた。
近くにいた阪大生はもろにその衝撃をくらいその場に膝から崩れ落ちた者もいた。
大講義室から泣きながら走って逃げる者もいた。
「ひとみやりすぎ。」
びっくりして唖然としているひとみにそう声をかけた。
「いや、まさかここまでとは。
でもまぁ、こんな美人を彼女にしたあきらくんはもっと誇っていいよ。」
そんなこと言って許されるのはこの美貌があるからだろうなと思いつつも。
「光栄にございます、ひとみ様。」
とおどけて言った。
授業が終わると、2人とも空きコマだったため2人はそのまま大学内のカフェに行き暇を潰した。
そこで話すのは他愛もないことばかりだったが、ひとみにすれば初めての彼氏ということもあり、会話の全てが新鮮であり、霧島からすれば、話をするたびにひとみのことを知ることができ、とても楽しい時間だった。
2人は昼食を共にし、霧島は午後の講義に向かいひとみは大学図書館に向かった。
霧島もひとみも毎日が楽しくてしょうがないのだろう。
心身が満たされ、特に楽しいことがあるわけでもないが嬉し気な様子で、
まずは一旦それぞれ別行動を開始した。
午後の授業を3つこなした霧島は自慢の愛車、レクサスLXで買い物に来ていた。
ひとみも誘ったが、どうやらバイト中らしく返事がこなかった。
霧島は少しの寂しさを感じながらも
おそらく大阪で最大の自動車用品店に来ていた。
「車の中が少し殺風景なんだよな。」
そう考え、車内の芳香剤や、ルームミラーの新しいものなどをそのカー用品店で買い、車の中を少し快適にリフォームした。
「これでよし。」
と、満足したところで、ドライブがてら難波方面に車を走らせた。
戎橋周辺を流していると、スーツケースを販売するリモワ社の店が近くにあることを思い出し、車を心斎橋周辺に止めリモワ心斎橋に向かった。
店に入ると、いらっしゃいませと店員さんに声をかけられる。
店員さんは、何か気になるものございましたらお気軽にお声掛けくださいませ。と告げると業務に戻った。
実は私はスーツケースマニアである。
そんな私はスーツケースに多大なるこだわりがあるため、内心で
「声をかけないでくれるのは正直ありがたい。」
と思うとスーツケースを物色し始めた。
「今度は丈夫で長く使えるものがいいな、長くずっと使えるものがいいな」と、
自身の使用する壊れかけのスーツケースを思い浮かべた。
霧島は1つ気に入った商品を見つけた。
それはtopas stealthという商品で34Lサイズのものだ。飛行機の機内持ち込みが許可されるサイズでありながら重厚感を醸し出しており、何よりstealthシリーズには使えば使うほど表面の塗装が剥がれ、その塗装の下地が見えるようになって味が出るという特徴がある。
※執筆当時はRIMOWAは現在と販売ラインナップが異なりました。
あえて修正せずに文章を残しておきます。
「買いだな。」
そう考え、34Lサイズのtopas stealthに加えてさらに大きいサイズである85Lサイズのものも購入することにした。
そして、物欲が止まらなくなった私はもう一つ、発色の良さに惹かれ、ポリカーボネート製のsalsa deluxeというシリーズの58Lサイズで赤色のものも購入を決意した。
スーツケースにしてはかなり高額ではあるが憧れのスーツケースを買えて私は大満足だった。
会計をすませると、店員さんに、車を店の前まで回してくるのでしばらく見ていて欲しい旨を伝え、車を取りに向かった。
車を店の前まで回し、店員さんから三つのスーツケースを受け取り後部ハッチを開け詰め込む。
ちなみに霧島のレクサスLXは2列シートの5人乗りタイプなので、荷物はいくらでも詰め込むことができる。
※現行モデルのLX発売前の文章のため、最新モデルとは運用が異なります。
ご容赦ください。
そうこうしているうちに夜の8時ごろとなり、家に帰ることとした。
帰宅途中にスーパーに寄って食料を買い込むことも忘れない。
大荷物になってしまい、かなりの苦労を伴ったが、なんとか自身が住むアパートに荷物を運び終えた。
こんな時は
「早く新しい家に引っ越したいな…。」
と心から感じてしまう。
今日購入スーツケースをいざ部屋に置いて思ったが、大きなスーツケースが3つも部屋にあると、意外と圧迫感がすごい。
そして、スペースを無駄にしてる感がすごい。
とりあえずスーツケースは3つとも車に乗せたままにすることにした。
ひとみ以外を乗せることもないのでスーツケースを積んでおく。
「とんだ二度手間だな…」
またエレベータで3つの空スーツケースを車に詰め込み、駐車場に車を止め、また家に帰った。
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