第13話

レクサスの購入から約4週間。


とうとう納車の日がやって来た。






LXはかなり人気ということもあって、もともと、もっとかかるかもしれないとは言われていたが、予想外にことがトントン拍子に進んで4週間で納車された。


工場からの出荷の日が決定したことで、その日に最も近い日曜日を納車日に選択した。




とうとう待ちに待ったレクサスが納車されるということもあって、私は納車前日から興奮が抑えきれなかった。


とはいえいくら興奮していたと言えども、もう20歳を超えた大人であるので、私はぐっすりと熟睡し、納車日に備えた。






納車日当日、営業開始時間と同時くらいに購入店舗にやってきた私は、少し恥ずかしかったが、納車式というものを経験し、新車のLXを引き渡され、満面の笑みを浮かべながら、帰宅の途についた。






そのまま帰宅するのもなんとなく味気ないなと思ったので、ドライブをすること決め、とりあえず京都の方に行ってみることにした。






私はLXをカスタムするつもりであったのだけども、とりあえず、当面は純正の何もカスタムしていない、素のままのレクサスLXを楽しむことにした。

だって運転するのが楽しいから。

今は味変の必要はないと思う。




京都に向かう車内で感動した。

このレクサスLXの乗り心地と、この素敵な車を手に入れることができた嬉しさに、である。






大阪市内から京都中心部までは約一時間ほどの旅である。車を手に入れたばかりの若者には少し物足りないかもしれないが、興奮したテンションそのままに長旅に出て、疲れて事故をするよりは良いだろうと考えていた。




そうして私は感動しっぱなしのまま京都市内に入り、かねてより訪れてみたかった京都のとあるホテルに到着した。



京都には名建築や名所がたくさんある。

その中でもホテルは近年発展目覚ましいものがあり、素敵なホテルがたくさんある。

その中で私がどうしても一度行きたかったホテルがある。

何かの雑誌で一目見て感動したのだ。

嵐山にある、翠嵐というホテルである。




私は翠嵐の回し者ではないため、あまり込み入った描写は避けるが、もし私が海外からのお客様をもてなすとなればどこに泊まってもらうかと問われれば、まず間違いなくこのホテルに泊まってもらう。


そのような素敵なホテルである。




「またレクサスが初夏の京都に映えるなぁ」






私はホテルの駐車場で駐車係に車を預け、改めて車体を眺めて心からそう思った。




京都に着いた時間的にはランチタイムであったため、ホテルのレストランで食事をし、嵐山の絶景を見ながらお抹茶をいただく。








「最高かよ…」

しみじみと心の声が出てしまった。







心からそう思いつつも、中村さんへの感謝を忘れない。

あくまでもこれは私の運を切り開いてくれた中村さんのおかげだ。

いつかもっと大きな人間になった時に絶対に恩返しをしようとまた決意を新たにした。




せっかく京都に来たということもあり、なんとなく京都を観光することにした。




「京都に来たからには鯖寿司でしょ」

知っている人も多いかもしれないが、京都は鯖寿司がおいしい。

歴史的に海が遠かったということもあるのだろう。




そう思った私は八坂神社の近くにある、鯖寿司の名店に車を走らせた。




運良く京都に訪れた時期が初夏ということもあり、走りの鱧を使った、鱧姿寿司の販売がちょうど開始された頃で、これ幸いとばかりに鱧姿寿司と、鯖姿寿司の二本を購入した。




車に乗り、京都市内を1人でぶらぶらと観光したのち、たくさんの八つ橋を自分への手土産にして大阪の自宅に向かって走り出した。




ちなみに、霧島が買ったレクサスLXは真っ白なパールホワイトである。


水垢がつきそうだなと思ったので、納車前にレクサスに連絡し、車体にガラスコーティングとワックスをかけてもらっておいた。


出来上がりの車体を見てそこにも大変満足していた。




京都市内から一時間ほどかけて大阪の自宅近くに戻ると、納車前にギリギリになってやっと見つけ契約した駐車場にレクサスLXを停め、購入した鯖姿寿司と鱧姿寿司を持ち自宅に帰った。






「後は家だな…!楽しみすぎる…!!」


家に入居したら中村さんを呼んでささやかなパーティをしよう…。

さて、中村さん以外に誰を呼ぼうか…。

母さんには引っ越しを手伝ってもらうとして…






そんなことを考えながら霧島は自宅で寿司を食い、1日を終えた。




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