第62話 ゴブリン討伐3
[まえがき]
異世界版桃太〇侍
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
山のふもとのなだらかな傾斜を移動しながらゴブリンを見つけ次第射殺していった。合わせて12匹のゴブリンをたおしてさらに北西に歩いていったところ、こんどはレーダーマップに4つ赤い点が見えてきた。
弓を構えて木立の隙間からのぞき見たところ、崖の下に開いた穴の前左右に2匹ずつのゴブリンが立っていた。穴の中はゴブリンの棲み処になっているのだろう。人間の門衛ならきちんとそこで立っているんだろうけれど、2匹同士でふざけ合っている。
3匹のゴブリンを仕留めて1匹を穴の中に逃がしてやれば、そのうち穴からゴブリンが出てくるだろう。穴から出てくるゴブリンを片端から射殺していけばいい線ゴブリンを削ることができるはずだ。
位置的に向こうの方が高いので、射界は狭まるけれど斜めに回り込んでもう少し高い位置に移動した。そこからでも十分4匹を狙えるし、穴から出たゴブリンを狙うこともできる。
烏殺に市販矢をつがえ、穴の入り口前でふざけている最初のゴブリンに狙いをつけて矢を放った。
わたしは矢の軌道を追うことなく、二の矢をつがえ2匹目に向けて放った。その時には1匹目のゴブリンはわたしの放った矢に頭を射貫かれてたおれていた。
そして2匹もたおれた。
3射目。騒ぎ出した残りの2匹のうち単調な動きのゴブリンを狙い矢を放った。
3匹目がたおれたところで4匹目が今まで以上の大声を上げて穴の中に逃げ込んでいった。
穴から出てくるゴブリンを矢で順に射殺そうと思っていたんだけれど、どうせ相手はゴブリンだしそれなりの数のゴブリンが一度に出てくるかもしれないので、ムラサメ丸で相手をしてやることにした。
烏殺をアイテムボックスにしまい、腰の鞘からムラサメ丸を抜き出して穴の正面まで歩いていき、穴の中からゴブリンが出てくるのを待った。
すえた臭いの漂う中、穴の前で待っていたら、中から喚き声が聞こえそれがだんだん大きくなってきたので、ムラサメ丸を両手で構え直した。
最初に穴から出てきたのは、棍棒を片手に持った大型のゴブリン、識別したら思った通りホブゴブリンと表示が出た。
ホブゴブリンの後ろにも似たようなゴブリンが何匹もいる。
ホブゴブリンが
ムラサメ丸に胴体を両断されたホブゴブリンは臓物をまき散らし、上半身が下半身の上に重なるようにして地面に転がった。嫌な臭いは我慢だ。
次に現れたのもホブゴブリンで、逆方向から胴体を横一閃。最初のホブゴブリンの隣りに並ぶような形で上半身が下半身の上に折りたたまれるような形で乗っかった。
そこから先は後続のゴブリンが怖気づいてしまい穴から出てこなくなった。
こっちから穴の中に入って行こうとしたらいきなり穴の中からソフトボール大の火の玉が飛んできた。それほど高速でもなかったので余裕で火の玉をかわした。今までみた見たファイヤーボールはどれも大した威力はなかったけれど、今回はどんなもんだろ?
ボン!
通り過ぎていった火の玉がわたしの後ろの方で爆発したようだ。音的に大した威力があるようでもないし、速度が遅いので簡単にかわせる。やはり今まで通り脅威というほどではない。
わたしは滑らないように足元に注意を払いながら穴の中に入っていった。
穴の中には明かりは灯っていないようで暗い。入り口近くは外の明かりで十分明るいけれど、奥まで入っていくとなると明かりが必要だ。アドレナリン・ラッシュを使えば暗がりでも視界がはっきりするけれど、さすがに光が全くない穴の中では何も見えないだろう。
明かりの魔法と言えばライトだ。あいにくそんな便利な魔法をわたしは使えない。生活魔法のレベルが上がれば使えるようになるかもしれないけれど、未だかつてそういった魔法を見たことがないので、可能性は低そうだ。あとは指先にファイヤーで火を灯せばいくらかは明るくできるけれど、指先に火を灯してムラサメ丸を持つことなどできない。困ったなー。
などと考えながら少しずつゴブリンとの距離を詰めていったら、また火の玉が飛んできた。
ムラサメ丸で払ったらどうなるのかと思って、飛んできた火の玉をムラサメ丸で切ってやったら火の玉は爆発することもなくそのまま消えてしまった。いいのかそれで? 今の火の玉もファイヤーボールと思っていたんだけど違ったんだろうか? さっき後ろの方で気の抜けた爆発音がしたと思ったけど今の火の玉と違ったのか?
入り口から差し込む光を頼りに穴の中に進んでいくと、ゴブリンたちが後退していく。もしここ以外に出入り口があるようならそっちに向かって逃げ出しているだろうから、出入り口はここしかないと思っていいだろう。
袋の中の鼠だな。フフ、フフフフ。
おっと、いけない。知らず識らずのうちに口元が緩んでた。
たまに飛んでくる火の玉を払いながら、急ぐ必要はないので明かりをどうするか考えることにした。
たいまつを作りたいけど適当な木の棒がない。あっ! 地面にホブゴブリンが持っていた棍棒が転がっていた。松明というには大きいけれど背に腹は代えられない。先端に適当な布を巻いてスターターパックに入っていたはずの料理油をしみ込ませて火を点ければいいんじゃない?
今のわたしの力ならムラサメ丸を片手で扱えると思うし。
さっそくわたしは簡易大型タイマツの製作に取り掛かった。たまに火の玉が飛んでくるけど、わたしに命中しても元気なく爆発するだけで一切ダメージを受けなかった。ちょっと鬱陶しいけどね。
何とかでき上ったたいまつを持ってゴブリンの方に歩いていったらまた火の玉が飛んできた。左手に持ったたいまつでその火の玉を迎えうったらたいまつに火が着いた。ラッキー。
わたしがゆっくり前に出ていくにつれてゴブリンが
4、5匹を叩き切ってやったら過密状態が解消したようでゴブリンが何とか奥に逃げ出せた。
そのゴブリンたちに向かって「待て! 逃げるな!」と大声を出したら、なぜかゴブリンたちはその場で立ち止まって動かなくなってしまった。よく分からないけれど立ち止まったゴブリンの後ろから順に首を刈っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます