第147話 小会議
ゴルレウィンの山並みの中にあった大空洞の中で見つけた五つの召喚魔法陣を
無責任にも外野から3人でケラケラ笑っていたら、地面がまた揺れた。地震は嫌だなーと思ってたんだけど、目の前に見えていた山肌の亀裂がゆっくりと閉じ始めた。転移が使えてよかった。と、思っておこう。まあ転移が使えていなかったら、空洞の中で生き埋めだったわけだから今さらか。
「さーて、これからどうする?」
「今回のモンスターの件が片付いたらダンジョンのことを詳しく聞きたいって
「それは妙案なのじゃ」
「だね」
「あっ、そうだ! この前渡し忘れたからお土産にヒールポーションを持っていってやろ。
二人ともここで待っててくれる? わたしあそこに行ってヒールポーションを樽に入れてくるから」
「それは良い考えなのじゃ」「そうだね」
わたし一人であのダンジョンの石室に跳んで、壁から勢いよく流れ出ているヒールポーションをヒールポーション用に使っていた酒樽に詰め直した。ついでに大きなヤカンにもいっぱいにしておいた。空き樽をアスカのところにいったら何個かもらおう。ヒールポーションでスープを作ったらおいしいと思うんだよ。
詰め込み作業は2、3分で終わった。ナキアちゃんたちのところに戻ったわたしは二人を連れてプリフディナスの宮殿の中にあるわたしの部屋に跳んだ。
そこで呼び鈴を押してやってきた侍女に来意を告げたら、会議室のようなところに連れていかれた。
3人で並んでテーブルの椅子に座っていたら明日香が現れた。
「今日は3人で」
「うん。
ダンジョンの話をしたらごちそうしてもらおうと思ってね」
「ごちそうなら任せて」
「この前渡し忘れてたヒールポーションをお土産に持ってきたからその時渡すよ」
「気が利くじゃないの」
「まあね。
ダンジョンのことを話す前に、今日わたしたちあのモンスターの大群が最初に現れたんじゃないかなーって召喚魔法陣を見つけて壊してきた話をするよ」
「そうなんだ」
「うん。それでね、あそこから山並みが西の方に見えてたの覚えてる?」
「覚えてる」
「あそこの山の中にすごく大きな空洞があってその中に召喚魔法陣がまとめて5つあったのを壊してやったんだよ。そしたその空洞が潰れちゃったみたい」
「どうやってその山の中の空洞に入ったの?」
「山肌に大きな亀裂があったので怪しいと思って中に入っていったんだ。その亀裂の先に大空洞があったの」
「ふーん」
次に、ダンジョンの話を3人がかりで明日香に話した。あの神殿での出来事も。
「アドミナはこの星を守るためにメチャクチャなことしてたんだ。
わたしもアドミナにいいように使われるところ逃げ出せてよかった」
死に戻りについての話はナキアちゃんにもキアリーちゃんにももちろん話していなかったけどこの際話した。二人とも分かったような分からないような顔をしていた。
「今の話を聞いた限りだと、あのモンスターの大群を送り出したのはアドミナに間違いないと思う」
「アドミナってこの星のためにモンスターと人が死ぬ必要があると思ってるんだよね? 死ぬ人間がわたしや明日香なら一番いいと思ってるようだけど」
「そうだね。あれだけのモンスターが死んで、一つの国が亡ぶほどの人が死んだんでしょうから、この星の命はだいぶ伸びたかもしれないけれどまた似たようなことをやるよ」
「アドミナを止めないといけないの?」
「止める。というか何か他の方法がないのかな? 下手なことをしてしまうとこの星自体が危なくなるんじゃない?」
「ということなら、筒の中に入って死んでしまった3人の巫女の代わりをわたしたちで探してくればいいんじゃない?」
「適格者がいたとしてその筒に入ってしまえば死んだも同然になるんでしょ? それって、死刑と同じことじゃない」
「そうなんだけど。いや、やっぱりできないよね。
そう言えば、今まで何度かぼんやりとした
「うん」
「その
ナキアちゃんにもキアリーちゃんにも言ってなかったんだけど白い玉が3個置いてあった部屋があったじゃない? その部屋を出る時わたし
「あの部屋じゃな」
「
「その白い玉を今持ってるなら見せてくれる?」
「これなんだけど。何だと思う? わたし鑑定スキル持ってるんだけど全然鑑定できないの」
アイテムボックスの中から白い玉を一つ取り出して明日香に渡した。
「静香がスキルだらけのことは置いておいて、色が黒ければ魔石だけど、これって何なんだろう? うちの誰かに調べさせてみるから預かってていい?」
「いいよ」
明日香が呼び鈴を慣らしたらすぐに侍女が会議室にやった。明日香が一言二言侍女に言って白い玉を渡したら侍女は白い玉を両手で大事に持って部屋から出ていった。
「何か分かったら知らせるわ」
その後3人でダンジョンでの戦利品の話をした。
「静香には専用室があるけど、ナキアさんとキアリーさんにも専用室としてこの前使っていた部屋を差し上げますから静香と好きな時にやってきて自由に使ってください」
「ありがたいのじゃ」「ありがとうございます」
「それじゃあ、話はこんなところで。
夕食までの間にお風呂にでも入って寛いでて」
そういうことで話し合いだか会議は終わった。会議室の前で待機していたらしい侍女に案内されて、わたしたちの部屋のあるフロアーまで戻り、各自の部屋に分かれた。
さっそくお風呂だ! 試しにタンスを開けたら新しい下着なんかが入っていた。クローゼットを開けてみたらいろんな服がぶら下がっていた。ここはわたしの部屋だから気を利かせてくれたんだろうけど、ナキアちゃんとキアリーちゃんについては急だからタンスやクローゼットの中の物は用意されてないかもしれない。でも、最初にここに来た時にもちゃんと用意されてたし。後でどうだったか聞いてみよ。
会食中そのことを聞いたら、部屋に入ってすぐに侍女が数名やってきてそういった物をセットしたうえ、お風呂の湯舟にお湯を入れてくれたそうだ。至れり尽くせり。ここの子になってやろうか。
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