第84話 魔法陣
[まえがき]
間違って非公開ボタンを押してしまいました。申し訳ありません。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
わたしたちはオーガをたおした現場からキャンプに戻って来た。キャンプにいたのは前回同様警備の兵士と毛布を敷いて横になっていたカルヒだけで、ジゼロンおじさんはいなかった。起き上がったカルヒがジゼロンおじさんはキャンプに現れていないとハーネス隊長に報告した。
そのあと、全員に向かってハーネス隊長が、
「オーガがどこからやってきたのか全員で探ろうと思う。これは本調査の予行演習と思ってくれ」と、言った。
「調査は最長で3日を予定しているので、各人はあと2日分のパンを追加してくれ」
「たいちょー、パンはそんなに残ってなかったよ」とカルヒ。
「そう言えば、そうだったな。
今日の昼過ぎにやってくる馬車でパンが運ばれてくるから、それを待って出発する」
自分で言い出したこととだけど野営訓練から調査訓練になってしまった。せっかく作った新居だったからもう少し使っていたかったけど仕方がない。
馬車が到着する午後までここで時間を潰すしかない。まずは腹ごしらえだ。
ナキアちゃんたちが天幕の中に入ってリュックを持って戻ってきたので、朝食の準備を始めた。準備と言っても昨日のスープの残りと、作り置きのイノシシ肉と柔らかパンだ。
「おいしいねー」
食事を終えたわたしたちは、昼までの時間お茶を飲んだりしてまったり過ごした。
ジゼロンおじさんが現れないまま午後になり、荷馬車が到着した。各人が2日分の堅パン6個をリュックに入れ、調査行が開始された。ハーネス隊長が警備の兵士にジゼロンおじさんのことを話してたみたいだったので、もしここに戻ってくれば待機するよう伝えてくれ。とでも言ったのだろう。
ハーネス隊長を先頭に、以下島で移動した時の順番で調査行を開始した。
30分ほどでオーガの死骸までたどり着いたわたしたちはそこからオーガのやってきた跡を逆をたどり北東方向に進んでいった。いたるところに木が倒れているので歩きづらいことは歩きづらいけどさすがは精鋭調査隊のメンバーだけあって移動速度はほとんど変わらなかった。ここでも1時間ほど進んで10分休憩をしている。
オーガの死骸から通算して2時間くらい林の中を歩いた先に、真ん中に円盤状の石台が置かれた空き地に出た。
みんなで石台に近寄って詳しく見ると、上面には五芒星が彫り込まれ、星形の5つの頂点上にオーガの魔石くらいの魔石が置かれていた。
ブレスカにいるとき1日仕事で行ったゴブリンの巣穴で見つけた祭壇と同じだ。
「これと同じものをゴブリンの巣穴で見たことがあります。
その時は魔石を回収して石の台を破壊しました」
「そうか。
しかし、これは何なんだろうな?」
「魔族が使っていたという転移魔法陣ではないか?」
「ナキアは見たことがあるのか?」
「実物は見たことはないのじゃが、どこかの文献で見たような気がするのじゃ」
「なるほど。
いつ頃からこの場所にこんなものが置かれていたのかは分からないが、これが魔族の転移魔法陣だとするとこの魔法陣を使ってオーガが送り込まれたということだな」
「その気になればオーガ1匹どころか、何十匹でも送り込めるんじゃないか?」と、珍しくカルヒが意見を言った。
「ハーネス隊長、オーガの足跡っぽいのがここで途切れてる」と、今度はキアリーちゃん。
周囲をざっと見渡したハーネス隊長が、
「転移魔法陣と考えて良さそうだな」
確かにオーガの移動した跡はわたしたちが通ったところしかない。転移魔法陣だとして、送り込まれたのはわたしがたおしたあのオーガ1匹だけのはずだ。
「この転移魔法陣の先は魔族の本拠地につながっているのじゃろうか?
もしそうなら調査隊としてこの魔法陣を逆にたどっていけばいいのではないか?」
「ナキアはこの魔法陣を動かせるのか?」
「いや。もちろん動かせんのじゃが、魔石が意味ありげに乗っかっているし、試しにこの魔法陣の上に何か置いてみて、変化がないか見てみぬか?」
「じゃあ何を置こうか?」と、キアリーちゃん。
「そうじゃなー。そこらに転がっておる石で十分じゃろ」
「キアリー。ちょっと待て。もしもこの魔法陣が動くとして、向うにそれと分かる物を送ってしまうと警戒されるかもしれないし、最悪何かの攻撃を受けるかも知れない。
魔法陣が動くか確認するだけだからなるべく小さな目立たない石で試して見よう」
「了解」
キアリーちゃんがハーネス隊長の指示通り、魔法陣に触らないように魔法陣の外側から小指の先ほどの小石を五芒星の真ん中に置いた。
小石はそのままで転移される気配は全くなかった。
「転移魔法陣ではなかったようじゃの」
「オーガがここから現れたのは確かなんだから、もしかしてこの魔法陣は、モンスターを召喚する魔法陣じゃないかな?」
「召喚魔法陣も、どこぞの文献で目にしたことがあるのじゃ。転移魔法陣と同じで魔族が使っていたらしい」
「魔族はどうやってこの魔法陣を使うと思う?」
「何か呪文のようなものを唱えるとモンスターが召喚されるんじゃ?」と、わたしがゲーム知識を披露した。そう口にしたときふと疑問が浮かんだんだけど、話しているうちに忘れてしまった。何を思いついたんだっけ?
「呪文ではわれわれでは知りようもないし、どうしようもないな」
「ハーネス隊長、壊しちゃいますか?」
「シズカ。壊す前に魔石を取ってアイテムボックスの中にしまっておいてくれ」
「了解」
ハーネス隊長の指示通り、魔法陣の上の5つの魔石をアイテムボックスにしまっておいた。
「わたしが壊しましょうか? ゴブリンの巣穴にあったものとそっくりだから簡単に壊せると思います」
「わたしがハンマーでたたき壊そうと思ったが、シズカが簡単に壊せるならやってくれ」
「はい。それじゃあみんな、破片が飛ぶから台から20歩くらい離れてくれる?」
みんなが石の円盤から10メートルほど離れたところでわたしも離れ、不射の射の構えを取って見えない矢を石の円盤に放った。
ドガーーン!
不射の射の一射で魔法陣の刻まれた石の円盤は粉々になった。
そこで、システム音が頭の中で鳴った。
『経験値が規定値に達しました。レベル30になりました。SSポイントを1獲得しました。力が+1されました。巧みさが+1されました。体力が+1されました』
『経験値が規定値に達しました。レベル31になりました。SSポイントを1獲得しました。力が+1されました。精神力が+1されました。体力が+1されました』
「何なのじゃ!? 今のは?」
「すっごーい」
「弓の訓練してたらたまたまできるようになった不射の射というスキル。弓も矢も、何もなくても見えない矢を放てるの。威力が強すぎるからやたらと使えないんだけどこういった石とか壊すのは便利だよ」
「便利とか生易しいものではないな。実に頼もしい。シズカが最後のメンバーだったがわれわれに加わってくれてありがたい」
カルヒ以外の3人におだてられていたら、さっき何を思いついたのか思い出した。
魔族が魔法陣を使ってあのオーガを召喚したとして、その魔族は一体どこにいるんだろ?
その後、確かめたわたしのステータス。
レベル31
SS=22
力:32
知力:30
精神力:30
スピード:42
巧みさ:38
体力:36
HP=360
MP=600
スタミナ=360
<パッシブスキル>
ナビゲーター
取得経験値2倍
レベルアップ必要経験値2分の1
マッピング2(74パーセント)
識別2(60パーセント)
言語理解2(88パーセント)
気配察知1(87パーセント)
スニーク1(45パーセント)
弓術8(12パーセント)
剣術8(2パーセント)
威風(9パーセント)
即死
<アクティブスキル>
生活魔法1(28パーセント)
剣技『真空切り』
アドレナリン・ラッシュ
威圧
弓技『不射の射』
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