第2話 ステ振り
[まえがき]
この親父、初手から堀口明日香を殺しちまったよ。
堀口明日香をご存じない方は、堀口明日香シリーズで、
https://kakuyomu.jp/users/wahaha7/collections/16816927861054007884
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
子どもの時からの親友、堀口明日香の葬式に向かう途中、交通事故に遭い死にかけのわたしは異世界ガーディアの神さまアドミナにより精神だけ飛ばされて天国のような場所にいた。アドミナはわたしにガーディアで生活してくれと頼んできた。断ればそのまま元の事故現場に戻されそのまま死んでしまうと言われたので当然依頼を了承した。
『それでは、ガーディアで再構成されるあなたの肉体の身体的特徴を設定してください。あなたの世界でのゲームのキャラクターメイキングのようにしてみました。ナビゲーターだけはすでに発動してますから試してください』
『キャラクターメイキングを始めます』と、アドミナとは違う声が頭の中に響いた。今は頭どころか体も含めてなにもないようだけどね。
『現在の姿は地球での姿がベースになっています。設定項目にはそれそれ上限や下限といった制限があります。なお余命は100年です。年齢については、15歳から30歳を指定できます。上限年齢である30歳を設定しても、余命は100年ありますのでご安心ください』
目の前に3Dのまっぱの女が立っているように見える。わたし自身だけど。
身長:165cm
体重:52kg
この辺りはそのまま。
髪の色は黒。これはこだわりだよね。
顔かたちも、美人顔ではないが、愛着があるのでこのままでいいか。
肌の色もそのまま。
目の色もそのまま。
年齢は、いま26だけど、なんとなく18くらいにしておくか。
肌のつやが少し良くなったかな。
まあ、こんなものか。
『よろしいですか?』
「オーケー」
18歳に若返った自分の姿が目の前にあった。
『声も変えられますが、違和感が強いと思います』
「声はこのままで」
『次はステータス、スキルの取得です。
ステータス、スキルの取得にはSSポイントを使います。レベルアップを伴わずステータスやスキルが上昇した場合、身体・精神に不具合が発生する可能性があるため、ここでの割り振り可能なSSポイントは30ポイントに制限されています』
『スキル取得にはスキルの種類により1SSポイントから10SSポイント必要です。ステータスは1SSポイントで10ポイントアップします。
幸運度だけは、今回の割り振り以降、レベルアップやSSポイントの割り振りで増加させることはできません。今回の割り振りで、SSポイントが余るようなら、幸運度を上げておくことをお勧めします。なお、SSポイントは、今後レベルアップ時に加算されます』
取得可能なスキルの表が目の前に現れた。色々あるが、成長加速系がないか探してみたらやっぱりあった。チートの定番だ。これは真っ先に取らないとね。
取得経験値2倍:10SS
レベルアップ必要経験値2分の1:10SS
あとは、探査系、攻撃系かな、痛いのは嫌だから遠距離攻撃主体。そうなると、防御系は後回しでいいか。
気配察知1:1SS
スニーク1:1SS
弓術1:1SS『長弓及び矢筒(矢20)を初期装備としてアイテムボックスに追加します』
剣術1:1SS『長剣を初期装備としてアイテムボックスに追加します』
の4つを取得。魔法系統もあったがやめておいた。
<元のステータス>
力:10(物理的力の強さ)
知力:10(魔法威力、MP)
精神力:10(ダメージ耐性)
スピード:10(あらゆる意味の速さ)
巧みさ:10(あらゆる意味の巧みさ)
体力:10(HP、スタミナ)
幸運度:10(文字通り幸運度)
HP=100(体力の10倍)
MP=100(知力の10倍)
スタミナ=100(体力の10倍)
<新ステータス>
力:10
知力:10
精神力:10
スピード:10
巧みさ:10
体力:10->20(1SS)
幸運度:10->60(5SS)
HP=200(体力の10倍)
MP=100(知力の10倍)
スタミナ=200(体力の10倍)
こんな感じになった。
『非常に良い組み合わせです』
『最後に名前をどうぞ。元の名前でも結構ですが、ガーデイアでは、名前・苗字の順になります』
名前は『シズカ』でいいけど、今の『ツルイ』はちょっと嫌なんだよね。
ここは、カッコよく『タチカゼ』でいってみるかな。
「『シズカ・タチカゼ』これでいいかな?」
『それでは、シズカ・タチカゼ、ガーディアにようこそ』
……。
気が付くと視界は緑に囲まれていた。そして草のにおいが鼻を突いた。
ざっと見渡した感じ、ここは雑木林の中みたい。森というほど木々が密生していないし、木立の間から雲の浮かんだ青空も見える。自然だなー。
地面に下草は生えているけれど、むき出しの地面もあれば、小石や漬物石くらいの石、それなりに大きな岩もそこそこ見える。日陰になった岩肌には苔も生えている。鳥の羽ばたきや、鳴き声といったものがあちこちから聞こえてくる。地球の森や林にそんなに馴染みがあるわけではないけど、地球での森や林の中とそんなに違いはないような気がする。
片膝をついてしゃがんでいる自分の姿を見下ろすと、アイテムボックスに入っているという革鎧の上下を着こみ革ブーツを履いていた。手には革製の手袋をちゃんとはめている。どれも黒っぽい茶色の革でできており、背景に溶け込みやすそうだ。腰には革の鞘に入った長剣。背中には長弓と矢筒。
『ここはどこなのかな?』とか考えていると、ナビゲーターとは異なる機械的な音声が頭に響いてきた。
『実体化完了。各スキル実装します。……。実装完了。パッシブスキル発動します。アクティブスキルはスタンバイします。ナビゲーターは停滞空間用モジュールをパージし、最適化されます』
次にナビゲーターの中性的な声が聞こえてきた。
『情報が不足しているため正確な位置を特定できません。マップと念じることで、周辺の状況を把握できます』
『マップ』
視界の右下の方にレーダーマップのようなものが現れた。真ん中が自分で、明るくなっている扇型の部分が今の視界なんだよね。
『スキル:気配察知がスキル:マップに同期しました』
レーダーマップの視界から外れた右側に黄色い点が現れ、数回点滅した後、点いたままになった。
『マップ上の黄色い点は、非敵性生物です。赤い点は敵性生物、緑の点は友好生物です。黄色い点を視認してください。なお非敵性生物のうち小鳥やその他の小動物などは除外しています』
体は動かさず、マップの示す黄色い点を視認しようと、ゆっくり首だけ右のほうに向ける。背の高い下草の茂みの先にいるのはウサギ? かな?
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