第113話 帰還1。転移術1
運河工事の見学でプリフディナス見学は終了し、わたしたちの部屋がある宮殿の階層に戻った。
そこでジゼロンおじさんがハーネス隊長にドライグ王国への帰還の予定についてたずねた。
「ハーネス隊長、いつ頃お送りすればいいでしょうか?」
「われわれの調査の目的は達成している以上、なるべく早く戻りたい」
「いつでもお送り出来ますがどうします?」
「ならば、明日の朝にでも送ってもらえればありがたい」
「了解しました。
直接ディナスまでお送り出来ますがどうします?」
「そうだな」
「隊長、海軍の船を放って帰っちゃまずいんじゃないのか」
「それはそうだったな。
ジゼロン、海軍の船が西海岸の沖に泊まっているんだがそこまで頼めるか?」
「船は直接目にしたことがないのでお連れできませんが、西海岸までならお連れできます」
「それで頼む」
「了解です。
他のみなさんは?」
「一人で王都に戻るわけにもいかないから、俺も隊長と一緒でいい」
「わらわも一人で王都に戻れぬし、一緒じゃな」
「ナキアさんとキアリーさんはカディフから王都に出てこられたんですよね。カディフなら直接お連れできますよ?」
「王都ディナスに戻れば一応報奨金も出るそうじゃし、
「わたしも一緒」
「シズカさんはどうします?」
「わたしも一緒に帰ることにします」
文明人とすればここの生活にあこがれるし、明日香と一緒にいたいって気持ちもあるけれどね。でもやっぱり一度受けた仕事は最後までキッチリ果たした方がいいし、ナキアちゃんたちともこれで別れてしまうのは寂しい。
「了解しました。
それでは、明日の9時ごろ出発ということでよろしいですね?」
「ジゼロン、よろしく頼む」
「……」
「頼むのじゃ」「よろしく」
「よろしくお願いします」
「今日の夕食は送別会ということになりますね。
陛下も会食にお出になるでしょう。準備が整い次第お知らせします」
各自そこで別れて、部屋に戻った。
部屋に帰って、椅子に座って今日の見学のことを思い出してぼーっとしてたら扉がノックされた。
『ジゼロンです』
「はい」
何の用事か分からないけどジゼロンおじさんがたずねてきた。
「みなさんの前ではお伝えしなかったことをお伝えします」
「はい?」
「陛下はシズカさんにこのプリフディナスにいてもらいたいそうです。
一度向こうにお戻りになられたあと、お迎えに行こうと思います」
「分かりました。3カ月後くらいに迎えに来てもらえれば色々整理が付いていると思います。居場所はブレスカの小鹿亭という宿屋です」
「了解しました」
「そうだ、ジゼロンさん。迎えに来るということは転移魔法陣を使うってことですよね?」
「いえ。一度に多くの人を運ぶことはできませんが、転移術というスキルで記憶にある場所なら跳んでいくことができるんですよ。西海岸には転移魔法陣を置いていませんので、明日は二人ずつ西海岸にお運びすることになります」
「なるほど。転移術ってスキル便利そうですね」
「重宝しています。これとアイテムボックススキルが無いと各地に召喚魔法陣とか置けませんからね」
ジゼロンおじさん、アイテムボックススキルも持ってたんだ。それはそうだよね。
そういうことでジゼロンおじさんは帰っていった。
転移術か。わたしも転移術のスキルが欲しいんだけどSSポイントいくら使えば取れるんだろう?
『アクティブスキル「転移術」の取得に必要なSSポイントは50です』
えっ! 50もするんだ。最初のステ振りの時のSSポイントは全部で30しかなかった。あのときのスキル表の中に転移術なんてスキル見なかったしね。今のわたしのSSポイントはたしか60。どうするシズカ?
……。
『アクティブスキル「転移術」を取得しました』
あっ! 知らぬ間に『転移術』のスキルを取ってた。SSポイントはまだ10残ってる。でもこれから先滅多なことではモンスターと遭遇しないだろうからレベルアップは望めない。ドンマイ。
『転移術』を取ったあとなんだけど、どうやって使えばいいんだろ? ナビちゃん、どうぞ。
『転移したい場所を思い描いて「転移」と意識すれば発動します』
他のアクティブスキルと似たような使い方だ。これなら簡単。
『注意と言うほどではありませんが「転移」はMPを50消費します。これは距離によらず一定です』
今までMPが減ったことがなかったから全然意識してなかったMPがここに来て意味があったってことか。ステータスを見たところ、こんな具合になっていた。今のMPは2750、50で割ると知力と同じ55回連続で転移できる。わたしの場合MPの回復は速いらしいからほぼ制限なしに跳び回れるってことじゃない。大枚50ポイントを使って手に入れたスキルだけのことはある。
レベル76
SS=10
力:73
知力:55
精神力:48
スピード:97
巧みさ:92
体力:48
HP=480
MP=2750
スタミナ=480
<パッシブスキル>
ナビゲーター
取得経験値2倍
レベルアップ必要経験値2分の1
マッピング2(84パーセント)
識別2(70パーセント)
言語理解2(93パーセント)
気配察知1(92パーセント)
スニーク1(45パーセント)
弓術MAX
剣術8(12パーセント)
威風(10パーセント)
即死
<アクティブスキル>
生活魔法1(41パーセント)
剣技『真空切り』
アドレナリン・ラッシュ
威圧
弓技『不射の射』
転移術
それでは試しに近いところで、この部屋の脱衣場まで跳んでみましょう。
脱衣場を思い描いて、そして強く意識『転移』
転移魔法陣で移動した時と全く同じ感じで目の前が切り替わり脱衣所の鏡に映る自分の顔を見ていた。
スゴイ!
すかさず、ステータスを確かめたらMP=2702で見てる間にもどんどん回復していって、10秒もかからないうちにマックスの2750に戻ってしまった。これならMPを意識する必要はないな。
脱衣場から風呂場をのぞいたら湯舟にお湯が入っていたので、わたしはその場で裸になってお風呂に入っちゃった。
お湯に肩まで浸かって転移術のことを考えていたら自然と顔がニヘラ笑いしていた。
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