第66話 SS操作と大道芸
前回同様金貨10枚の支度金を貰ったわたしは、文字通りキャンプ道具を揃えようと商店街に繰り出した。
まずは乾物屋と八百屋だか果物屋に回って干し肉に干し魚、そして乾燥果物に木の実類を購入した。
そのあと雑貨屋などを回り大型のまな板と大型の金網、木製の皿と深皿とコップ、それに木製のナイフとフォークといった食器類。食器類は6人分だ。その他に大型ヤカンにティーポット代わりの小型のヤカンとお茶などを購入した。今回はアイテムボックスに余裕があるので、木炭もそれなりの量購入している。これで網で肉を焼いても肉に煤が付いたり煙臭くなったりしないはず。
木炭を買った時ひらめいたんだけど、火薬ってどこかに売っていないだろうか? この国ってそれなりに雨が多いから硝石鉱山なんてなさそうだし無理なんだろうなー。
一撃必殺の何かが無いと前回の最後の戦いに勝つことはできない。理想は戦車なんだけど、さすがにどうしようもないからね。もし戦車が手に入ったとしてもそもそも運転できないし。大砲の
今現在
『ナビちゃん、そのへんどうなの?』
『強敵を一撃でたおすパッシブスキルがあります』
『なにそれ、そんなに便利なスキルがあったんだ。
詳しく教えて?』
『スキル名は「即死」
物理攻撃を加えた場合一定の確率で発動して対象を即死させます』
『一定の確率って?』
『即死が発動する確率は1パーセントになります』
『1パーセントの確率で発動するなら100回攻撃したら、確実にたおせるってことだよね?』
『いえ、期待値は1ですが、毎回発動する確率は1パーセントです。99回連続して発動しなかったから100回目に必ず発動するというわけではありません』
『ふーん。
剣だけがそのスキルの対象になるの?』
『いえ、あらゆる攻撃が対象になります』
『ということは弓矢も? キックやパンチも?』
『剣であれ弓矢であれ、キックやパンチであれ攻撃に殺意が込められているかどうかがスキル発動のキーになっています』
確かに。手が当たっただけで即死が発動しちゃシャレにならないものね。
『そのスキルを取るのに必要なSSポイントはいくらなの?』
『パッシブスキル「即死」の取得に必要なSSポイントは1です』
微妙なスキルだけどSSポイント1なら取っておいてもいいような気がしてきた。いずれにせよ手数を稼げば発動する可能性は上がるんだろうから、追加でSSポイント1使ってスピードを10上げてしまうのもアリかも?
そんなことを考えながら商店街から小鹿亭に向かって歩いていった。
小鹿亭に戻ったわたしはまだ昼前だったのでいったん部屋の戻った。
鎧姿から普段着に着替えたわたしは部屋のベッドに寝っ転がってSS操作を始めた。
まずはパッシブスキルの『即死』。SSポイントを1使って即死を取得すると考えたらすぐにシステム音がした。
『パッシブスキル「即死」を取得しますか?』
『はい』
『パッシブスキル「即死」を取得しました』
次にSSポイントを1使ってスピードを10上げたいと考えたら、システム音がした。
『SSポイントを1使ってスピードを10上げますか?』
『はい』
『スピードが30から40になりました』
何だか知力と精神力が見劣りしたので、その2つもSSポイントを1ずつ使って10ずつ上げておいた。
でき上ったステータス。
レベル27
SS=20
力:28
知力:30
精神力:29
スピード:41
巧みさ:35
体力:33
HP=330
MP=600
スタミナ=330
<パッシブスキル>
ナビゲーター
取得経験値2倍
レベルアップ必要経験値2分の1
マッピング2(71パーセント)
識別2(56パーセント)
言語理解2(83パーセント)
気配察知1(84パーセント)
スニーク1(44パーセント)
弓術3(51パーセント)
剣術6(98パーセント)
威風(5パーセント)
即死
<アクティブスキル>
生活魔法1(25パーセント)
剣技『真空切り』
アドレナリン・ラッシュ
威圧
ステータス的にはすごく強くなった気がする。
SS操作を終えてベッドの上でぼーと天井を見ていたら12時の鐘が聞こえてきたので食堂に下りていって昼食をとった。
昼食を食べ終えて部屋に戻ったわたしは何もすることがないなら剣の訓練でもしようと思って再度防具を着込んだ。
宿屋を出て、さあどこに行って訓練しようかと思ったのだけど適当な場所がない。『胡蝶の舞』なんかはある程度の広さが無いといろいろな意味で危ない。
街の門を出てすぐの場所では門に出入りする人が大勢いるからそこそこ目立ってしまう。街の中には公園のような場所がないわけじゃないけれど、真剣を振り回すわけだから人のいるところでは危険だ。意外と街の中は不便だ。
オーガたちが攻め寄せるのは南門なので、わたしはなんとなく南門に向かって通りを歩いていった。
南門の手前は結構広い広場になっているので、そこで訓練することにした。もちろん人もそれなりにいるのでムラサメ丸は使わず、エアー・ムラサメ丸で『胡蝶の舞』を舞うことにした。
半眼になって周囲を意識的に見ないようにしたわたしは両手でムラサメ丸を構えたつもりになってエアー・モンスターを相手に『胡蝶の舞』を舞った。
エアー・ムラサメ丸を振ったり突いたりするたびに口で擬音を付けてやったところ雰囲気が出てきた。
シャッ!
シュッ!
ショッ!
これはいい。
夢中になって『胡蝶の舞』を舞っていたらシステム音がした。
『剣術6の熟練度が規定値に達し、剣術6は剣術7にレベルアップしました』
エアー・ムラサメ丸を使っていたにもかかわらずレベルアップしてしまった。
それからしばらく舞って一度止まって息を整えたところ周囲から拍手が沸いた。知らぬ間に大勢の人に囲まれていた。しかもわたしの足元には小銭が沢山落ちていた。
えーと、これって? わたし、大道芸人と思われたってこと? きっとそうだよね。
せっかくなのでお金を拾ったわたしはアイテムボックスの中のから小銭入れにしている袋を取り出してその中に入れておいた。
周りに人垣ができているということはその範囲で剣を振るうことができるってことだから、ムラサメ丸で『胡蝶の舞』を舞おうかと思ったんだけど、知らぬ間に真空切りが出っちゃったらそれこそ大惨事になってしまうのでやめておいた。
『胡蝶の舞』を舞う都度投げ銭を貰ってしまった。いい稼ぎと言うほどではないけれど十分食べていけるだけの稼ぎだった。これでいいのか?
訓練にもなってお金が稼げるならいいじゃないか。何だか、わたしの将来100年の人生設計に微妙に影響しそうだ。
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