第79話 キャンプ2


 レーダーマップを見ながら林の中に入っていったわたしは、たきぎにするための枯れ木を集めながら獲物を探した。


 すぐに獲物は見つかった。


 不射の射を使えば素手でたおせるんだけど、獲物が文字通り砕けてしまっては元も子もないので烏殺と市販矢を取り出して獲物に接近していき、50メートルまで近づいたところで獲物が視野に入った。そこで狙いをつけて矢を放ち仕留めてやった。最初の獲物は大ウサギだった。


 今のわたしにとって50メートルは必中距離のようで的も良く見えたし、照準の丸もずいぶん小さかった。


 烏殺をしまって仕留めた大ウサギに駆けよりその場で解体してアイテムボックスに。不要な部位は穴を掘って埋めようかと思ったけど、その場において、そこから50メートルほど離れた立木の脇にしゃがんで草の陰から別の獲物が近づいてくるのを気長に待つことにした。


 そうやって待つこと30分。やってきたのはイノシシだった。隠れた場所からちょうどイノシシの頭部が丸見えだ。しめしめ。


 烏殺を取り出して市販矢をつがえたわたしはイノシシの眉間を狙って引き絞った弦を離した。


 矢は吸い込まれるようにイノシシの眉間を射貫き、イノシシはその場にたおれた。狩をするなら弓矢よね。


 すぐに駆け寄りその場でイノシシを解体した。さすがにここでの狩は難しいだろうと思い、不要部位は最初の大ウサギのアラと一緒に穴を掘って埋めてやった。



 そこからしばらく薪を拾いながら移動して野営に良さそうな草の生えていない場所を見つけた。キャンプから1時間ちょっとの距離だ。


 最初にかまどを作った。昼食時間は過ぎているので、早めの夕食と、明日以降のため肉を焼いて作り置きするつもりだ。


 枯れ葉の上に薪を組み、本格的に肉を焼くつもりだったので、その上に木炭を置いてやった。


 かまどに火を入れてから金網を置き、まな板の上で適当な大きさにスライスしたウサギの肉を金網の上に置いていった。ウサギのレバーとハツはスライスしてから水を張った鍋に入れ、揉み洗いしながらクリンをかけたらきれいに血抜きできたようだ。ここでの生活が長くなり生活ノウハウも手に入ってるからね。


 ウサギ肉を網に乗せ終わったところでイノシシをまな板の上でスライスしていき、焼き上がったウサギ肉は皿の上に移して代わりにイノシシ肉を金網に乗っけていった。


 炭も追加してどんどん肉を焼いていき、焼き上がった肉は皿に入れ、皿がいっぱいになったらアイテムボックスに移して新しい皿を出した。



 お腹も空いてきていたので小皿に肉を取って食べながら焼いていき、2時間ほどで20キロ近くの肉が焼き上がった。これだけあればナキアちゃんたちと合流してもキャンプの間肉を焼かなくてもいいだろう。木炭も灰になった。金網からクリンで汚れを落とし、そのほか出していたものもクリンをかけてアイテムボックスにしまい後片付けした。


 

 そこで初日の夜半から雨が降ったことを思い出した。


 マントを羽織ってフードを被り、大木の葉陰にいれば直接濡れることはまずないけど、座っていると濡れた地面からお尻にしみ込んでくる。暗くなるまでまだ時間があったので、わたしは竪穴式住居を作ることにした。


 大木の下で太い根が張っていないようなところを見つけて、そこに幅1メートル、長さ2メートル、深さ50センチの穴をスコップで掘った。墓穴掘りで穴掘りは慣れているので簡単だった。掘り上げた土は穴の周りに土手になるよう盛り上げておいた。


 その後、アイテムボックスのスターターパックに入っていた小型斧を取り出し、手ごろな木を伐採して穴の補強材を作ることにした。


 太さが20センチほどの杉のようにまっすぐな木が目に付いたので根元に斧を食いこませたら面白いように斧が食い込んだ。さすがは神さま仕様のスターターパック斧。


 数回斧を振ったら切り倒せた。


 下の方から上の方に向かって太さが5センチくらいのところまで枝を払っていき、太さが10センチから5センチ辺りの部分を1メートルくらいの長さになるように切り、片側の先端を尖らせて杭を作った。


 その杭を穴の壁に沿わせるように立てて、力いっぱい杭を押したら、杭が20センチほど突き立った。杭で穴の壁を覆えばかなりしっかりした穴になるでしょ。


 杭の数が全然足りないのでどんどん杉?を切り倒して杭を作っていった。


 杭にして80本くらいを穴の周りに突き刺してたら、穴の壁がすっかり塞がった。


 その後穴堀で出た土を穴の上に突き出た杭に寄せていき、スコップで叩いで固めて出来上がりだ。


 作業した大木の先には杉?から払った枝と丸太で山になってしまった。


 穴の底の地面がむき出しだし、穴を掘った時スコップで切った木の根っこなんかもはみ出ているので、穴の底を何とかしたいところだ。簀の子があれば一番だけど、わたしの持ってる道具じゃ板は作れないんだよねー。


 仕方ないので試しに毛布を敷いて横になって見たらデコボコはあったけどそれほど気にはならなかった。それでもせっかくなので、毛布を取って、木の根っこのでっぱりとかを斧を使って切っていき、再度毛布を敷いて寝転がってみたたところ問題のあるようなところはなかった。


 そこで、最初に作ったわが家のことを思い出したわたしは、アレを修理して穴の上に乗っけることを思いついた。


 と思ったんだけど、旧わが家はアイテムボックスの中に無かった。今回作ってなかったもの当たり前か。


 作り方は分かっているので払った枝から骨組みを作りそこらの草で葺いて旧わが家に近いものを作り上げた。


 若干草の量が少ない気がしたので、追加で葉っぱの沢山ついた広葉樹の枝をたくさん用意してその上に乗っけていった。まさに枯れ木の山に成っちゃったけど、それなりに雨を防ぐはずだ。


 最後に風で飛んではマズいので要所に杭を打ち、残った木などで補強しておいた。


 これなら今夜降る雨くらいなら余裕でしのげるはずだ。


 旧わが家を乗っけたら出入り口がかなり狭くなったので、狭い方の1面側の盛り土をけた。それからその面を補強していた杭も抜いて3段ほどの階段を作り、そこを出入口にした。階段の角には杭を横にしておいたので崩れにくくなっているはず。使用頻度がそれほどでもないはずなのでだいじょうぶだろう。



[あとがき]

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短編『怪談』

https://kakuyomu.jp/works/16817330661489838879

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