もよお……シテマス
ピッパラの木の上で、二羽の鳥が体を寄せ合い、互いにさえずり合っていた。
『《白き鳥》よ。いかがなされましたか?』
『《黒き鳥》よ。どうも私は、”
『白き鳥よ。それは新しき命の源。とてもよきことでございます』
『黒き鳥よ。糞をひねり出すのに、もっともよい日はいつだろうか?』
『白き鳥よ。今この瞬間にも、どこかで糞がひねり出されております。
”よい日にひねり出す”のではなく
”ひねり出した時が最良の日”なのです。
糞にとっても、ひねり出した貴方、そして、”落ちた地面”にとっても……』
※
二人の女性が、ある場所の回りで、まるで蜜を探す蝶のように舞っていた。
「見て、《イザヨイ》! 今年の”肥え”もすばらしい出来ですわ」
「どれどれ……。ん~! どうだい、この熟成された豊潤な香りを!
《オトメ》も”嗅いで”みろよ。やはり”フラン様”の”肥だめ”は帝国一、いや天下一だな!」
※
街の広場の端っこで寝ている男に向かって、倍以上の筋肉を蓄えた巨漢の男が怒鳴るように声を掛ける。
「おい! 起きろ! この”ろくでなし”! もう昼だぞ!」
「……なんだぁ、せっかく寝ていたのにぃ……。なんだ《ハイイログマ》か。
おめぇ、いつから夜行性を卒業したんだ?」
「その卒業だよ。明日、《冒険者学園》の卒業式だからな。お前のねぐらの場所、俺たちの団の卒業生勧誘場所として使わせて貰うからよ」
「ほぉ~。この広場で最高の場所を射止めるたぁ、おめぇ、意外とクジ運いいんだな。カードではいつも俺に負けているくせによ……」
「本当は《
『”あの”ろくでなしのねぐらで勧誘だなんて、わたくし以下、無垢な団員全員が”受粉”してしまいます!』
ってほざきやがって。だったらと、俺たちの場所と交換したのよ。そ~ら、どいたどいた!」
「わぁ~ったよ、気持ち悪い物真似するなって。んじゃ、二、三日ぶらぶらしてくるわ」
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