第一章 東の園合戦、シテマス
大騒ぎ、シテマス
逆さ傘。
それは、太古の首都クラスがあったとされるクレーターと、その中心からそびえ立つ細長い塔を
その名の由来は、塔が傘の
しかし、幾人かの魔導師からは
《
と揶揄されてもいる……。
塔の頂上に設けられた
太古の部屋を模した畳の上にお布団を敷き、スケスケの”ねぐりじぇ”を纏い、うつぶせに寝転がりながら
「失礼します
「別にいいじゃないのバス爺。入傘式も終わったんだし~のんびりさせてよ~」
バス爺はあごから伸びた長い髭を振り乱しながら、塔の主に向かってつばを飛ばす。
「のんびりしている場合ではございませんぞ! 我が倉庫から太古の発掘品が盗まれましてございます!」
「そんなのいつものことでしょ? 盗むと言ったって犯人はどうせ
『太古のをた○ちんがハァハァしながら読む薄い本』
を盗んだぐらい大目に見なさいよ~」
「そんな
バス爺は盗まれたリストの紙をアーリアに差し出した。
・けったますぃ~ん
・黒猫の置物。
・鶴のような鳥の置物。
・太古の神の像。
・《
・太古の
「ふぅ~ん。こんなのなんに使うんだろうね~? 別にいいんじゃない、ほっといても」
「そんなわけにはまいりません! そもそも、我が逆さ傘の倉庫から盗める”モノ”がどれだけ”この世”におりましょうか?」
「……ん~できればね~”そいつ”のことは考えたくなかったんだけどね~」
「爺も同感ですが、我らと共に”
「”そいつ”もこの前、サタァンちゃんのゲ○まみれになったからね~。”すてんれす”だか”のろいぜ”になっちゃたのかな~。あ、”監査官の犬”の分もあわせれば、これはもう犯人として確定ね~」
「……いかがいたしましょうか?」
「そもそもどこにいるかわからないし~、事が起きればいやでも目につくから~、対策を立てるのはそれからにしましょう」
「それでは一応、我が逆さ傘の各支部へ通達を送ります」
「うんお願い。でも、通達する場所は一つでいいと思うけどね~」
――アデルがヤゴの街の冒険者学園に入学して一ヶ月あまり。
ナゴミ帝国東部における中枢の街。ヤゴの街。
帝国の直轄地ゆえ、その規模は並の都をも凌駕する一大都市と言っても過言ではなく、東部地区の発展に伴いその規模は今なお拡大しているのである。
このヤゴの街の北部には、かつて巨大な図書館があったと言い伝えられている本の山があり、ヤゴの街にある魔導研究所も、この本の山から発掘された書物の研究の為に建てられた。
そしてこの本の山の東部、ヤゴの街から北東にある《
東に《星の丘》や《
そんなある日、いつものように東の園を通りかかったある冒険者パーティーの一報で、ヤゴの街は未曾有の緊張に包まれた。
『東の園に魔物の軍勢が集結しているぞ~!』
慌てふためきながらヤゴの街へ逃げる冒険者パーティーを見下ろしている”モノ”。
奇妙奇天烈な服装とマントを羽織った、もはやお馴染みの”モノ”。
その”モノ”は唇の両端をつり上げ、悪魔のような笑みと高笑いを東の園へと響かせた。
「フハハハハハ! せいぜい派手に吹聴して下さいよ! ラハ村では出し抜かれましたが、
一通り台詞を吐き出したマイトレーヤ、冒険者名イタチは太古の乗物、《けったますぃ~ん》に華麗に飛び乗ると姿を消し、ペダルを超回転させながら一路、ヤゴの街へと駆けていった。
「フフフ。魔術や聖法で空を飛んだり馬に乗って地を駆ければ、例え姿を消しても見つかる可能性があります。しかぁ~し! この”けったますぃ~ん”なら音も立てず馬並の速さで地を駆けることができる! まさに我の為に与えられ、我にしか乗りこなせない物! フフフ! フハハハハハ!」
しかしマイトレーヤの高笑いも長くは続かなかった。
「……くそ! 我としたことが
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