2 悪い夢

「マリナ」

 フュゼルは呟いた。

 黒い霧に包まれた夜空を、時折、目も眩むほどの閃光が切り裂いた。

 フュゼルとマリナは屋根の上で、空に映し出された、終わりゆくこの星の将来を見ていた。


 この星はもうすぐ終わる。

「次はどんな星に生まれるんだろう」

 フュゼルが言った。

 マリナは答えず、黒い巨大な竜巻が空から現れるのを眺めていた。


 風圧が木々をなぎ倒し、巨大な刃物のような竜巻の先端によって、大地は掘り起こされた。舞いあがった土の塊は、大量の土砂となって空から降ってきた。


 風の咆哮が火星を包み込み、歪んだ太陽の輝きと、正体不明の黒い霧が入り交じり、黒い光と白い光が火星を覆った。

 大地の叫びと人々の叫びが聞こえる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る