33 焼煙

「聞かせてくれ。お前たちがこの星で何をやっているのかを」

 焼煙が立ち昇る焼けただれた体を横たえ、身動き一つとれず絶命の時を待つ一つの身体があった。右半身と左足は失っている。ヒューヒューと喉奥からかすれた呼吸音が静かに響いている。


 小一時間ばかり探し回って、ようやく生き残りを見つけたイピテル達。


 イピテルの問いかけに、口をわずかに動かすだけで、それは言葉をなさなかった。

「この人が知りたがっているんだ。ヒューヒュー言ってるだけじゃわからないんだよ」


「…ま…え……た…ち……しま…い……だ」


 焼けただれた体を囲むイピテル達、六人の背後に突風が吹き、イピテル達は吹き飛ばされた。背後で輝くのは、奔流となって天へと湧き出る光の霧。霧の向こうには四つの人影があった。


「なめるなよ。うまく、我々を欺いたつもりだったのだろうが、ゼル家は取り潰しだ。一族の者はすべて記憶を消し、この地へ堕とす」

 霧の向こうから聞こえたのは、ミカエルの声だった。

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