48 乖離

 アザゼルは、泣き続けるルーシェを見守ることしかできなかった。


 ルーシェの心に呼応するように空も、雫を一つまた一つと大地に落とし始めた。


 雨が降りしきる中、頭と胴がかろうじて繋がっているクミコの遺体を、納体袋に収め引き上げる部隊。二人はただ互いの顔をぼんやりと見ていた。彼方から微かに聞こえる雷鳴。


「戻りましょう!」

 アマナの声だ。康太郎とアマナがこちらに向かって走ってくる。

 ルーシェとアザゼルは地上に降り、地球管理統制局へと引き返していった。









§§§










憎い…



あの男が…憎い…



殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる



絶対に許さない…



怖い暗い冷たい何も見えない…

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