162 別れ
アザゼルを封印して数時間が経過した。
闇が目の前に広がっている。
闇の中央で息づく鼓動を感じる。アザゼルがそこにいる。
色々なことを思い出した。その度に涙が流れた。
こいつを回復させることができるのだろうか。
狂気を治す方法が。
アザゼルを見つめる康太郎を、十四の光輝く陽炎が取り囲んだ。
「わかったよ。時間だろ。もう行くよ」
月ほども体積のある黒い柱の中から出た康太郎は、もう一度振り返り、アザゼルのいる場所を見た。
瞬く星にまじり黒い立方体が、宇宙空間に浮かんでいる。
康太郎は目に溜まった涙を拭うと、柱に背を向けて地球に飛んだ。
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