57 技術研究開発部法術課長 メネド・ラ・ママナ

 平和な時代だ。退屈だ。時々何もかもを壊したくなる。


 昔は局長と補佐の人達が、エル家の犯罪者と戦っていた時代があったらしい。


 そんな時代に憧れてしまう私は愚か者だろうか。





「何? ぼーっとして、集中!集中! さっさとやらないと研究進まないんだから」

技術研究開発部科学課長のポロ・ダ・ガシュラがメネドの背中をバンバンたたいた。


「ああ…わかってるよ」

 メネドは上空に両手をかざした。

「いいね! いいねえ! その調子!」


 ポロは左手に持ったタブレットに表示された数値やグラフに見入っている。


窒素 78.084%

酸素 20.9476%

アルゴン 0.934%

二酸化炭素 0.032%



「出た!出た! ピッタリだ! 大気組成表と同じ数値が得られたよ! メネド!」


 メネドの両手首にはめられた鉄の腕輪。メネドの手から放射された走査波。そこから得られたデータを電子機器に転送する。術者本人だけが直感的に情報を知るだけでなく、客観的なデータとしての有効性を確立するための実験に二人は取り組んでいた。



 エア人と火星人のルーツ、他の惑星の調査、移住。これらが新しくアザゼルがファゼロで始動させたプロジェクトだった。

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