71 エアの考古魔術学者

「惑星を作るじゃと?」

 オピト・ラシア老人は目を丸くしメネドを見た。

「はい。そうです」

「重力やら磁場やら原子やら、そんなものにまで火星の魔術は手を出しとるんか? こりゃ、たまげたわ」

 長く伸びた顎髭をなでながら、宙に視線を漂わせるラシア老人。

「しかし、面白そうじゃわい。当てがないわけではない。ちょっと、こっちへ来んさい」

 手招きに連れられ、メネドが老人のそばに近寄ると、どこからともなく現れた光が二人を包み、視界がまぶしさで覆われた。


 目の前に現れた巨大な空間。


 それは大きな図書館だった。何列にも連なる本棚は数十メートル先の天井まで届いており、太い柱その物が本棚になっていた。

 白衣を着た者やローブを着た者が宙に浮き、高い位置にある本を手に取り眺めたり、浮遊台を使い目当ての書籍を探したりしていた。


 二人は、図書館の遥か先にあるスペースまで飛翔した。

 本棚に囲まれたある一画だけ、広々としたスペースになっており、そこでは新たな術や術の改良にいそしむ魔術師が、各々研究対象となる術を展開していた。

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