135 出所
「お前を許したわけではない。しかし、俺たちには成し遂げなければならない事がある。アンタレスを調査しに行く。お前も来い」
ポコは公寿郎の顔をまともに見ることができず、顔を伏せてテーブルに視線を落とした。
「これは命令だ。お前に拒否する権利はない」
「エアの復興は… 重力は」
ポコは俯いたまま呟いた。
「お前はバカか。重要性が全く違うだろう。とぼけるな」
ポコは顔を上げると、恐る恐る公寿郎の顔を見た。
公寿郎は、怒り、悲しみ、同情、何と表現したらいいかわからない、様々な感情を抱えていたが、努めて無表情を装った。ポコは立ち上がると公寿郎の後について部屋を出た。既に受刑者区域管轄所長に話はついていてポコの出所が認められた。
受刑者区域の
日本の黄煌都千宿区にある
§§§
ADCO日本支部41階 会議室
ポコを見るアザゼル。
アザゼルを見返すポコ。
「宿命か」
アザゼルは呟いた。
ポコは聞こえない振りをしてアザゼルから視線を逸らすと、窓から見える黄煌都千宿区の街並みを眺めた。地平線の彼方まで続く高層ビル群の先には、微かに山並みと海が顔を覗かせていた。
「それでは、頼んだぞ」
アザゼルがポコの傍らに立つ公寿郎に言った。
少年の肉体を持つポコと成人の肉体を持つ公寿郎、傍目には親子にしか見えない。
「
アザゼルは二人を外在化させると、二人は建物の天井や壁をすり抜けて空へ昇っていった。
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