75 始まり

 火星の地下都市に作った異空間の出入口。さらにもう一つの出入口を宇宙空間に設置する。


 火星から遠く離れた場所に。太陽系の他の惑星の公転軌道にも影響が出ないところに。


 魔術師と魔力を磁力や重力に変換する機械を、時間の流れが超低速になった異空間に待機させる。


 数百人の魔術師と魔力変換機でごった返す異空間。それらを近くで見守るメネドとポロ。


『異空間に入っている間は無線は通じない。テレパシーも、途切れ途切れになってリアルタイムで正確な指示が出せない。ここですべての計画を説明する。全てが二人の肩にかかっている』

 二人とも、アザゼルの言葉を頭の中で何度も繰り返していた。



§§§



 全ての魔術師が、宇宙空間に向かって開かれた異空間の出入口に向かって手をかざす。


 蓄えられた膨大な魔力の渦が、魔術師たちの背後に向かって伸びる。魔術師たちは次々と魔力を自らの発動する術に変換していった。

 重力発生、磁力発生、惑星創出に必要な元素の発生に必要な魔術だ。

 

 エンジニアたちも、一斉に重力発生機や磁力発生機の電源をオンにした。


 術の本格的な発動まであと少しだ。後はポロとメネドが合図さえすれば、解き放たれた術と機械の力が異空間を飛び出し、広大な宇宙空間に惑星を作り上げるだろう。

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