125 追放の記憶

 流れ込んでくる記憶。


 ある銀河の恒星系。


 その恒星系では、宇宙空間に浮遊する大量の柱と、惑星に溢れる二足歩行の生物に悩まされていた。


 肉体を持たない種族はそれらを破壊し続けたが、創造に取り憑かれた同族によって際限なく創造される二足歩行生物と柱が、肉体を持たない種族をその内に次々と取り込んでいった。


 柱に取り込まれた者は、自由自在な可動性を失い、成す術もなく仲間が柱を破壊するのを待つしかなかった。


 二足歩行の生物の中に取り込まれた者も、同じように自由自在な可動性を奪われたが、その肉体を動かすことはできた。しかし、飛翔、浮遊はできても初めて体験する重力というものから完全に自由になることはできず、食べる必要性、呼吸する必要性、大気温から肉体を守る必要性に囚われる事となった。

 これは柱と違い、自分を取り込んだ二足歩行の生物を自分自身で破壊することが可能であったが、その破壊には痛みというものが伴った。


 その恒星系の肉体を持たない種族は、創造に取り憑かれ、忠告を無視し続ける同族を、狂神、犯罪神と断定しその恒星系から追放することを決めた。


 “それ”はその恒星系から追放された狂神、犯罪神だった。

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