111 因果

 日本

 黄煌都千宿区


 高層ビルの合間を行き交う航空タクシー、空中に浮かぶ幹線道路。ポコの居住エリアでは見慣れない光景が広がっていた。タクシーや高層ビルに映し出された電光広告を、キョロキョロと眺めながらポコはアマナの後を歩いた。


「あんまり上ばっかり見てると、首痛くなっちゃうわよ」

 笑いながらポコをたしなめるアマナ。

 頂上が尖塔になった超高層ビルが3棟連なっている。真ん中のビルは特に一段と高層になっていた。

「あそこよ」

 アマナが真ん中のビルを指差した。入り口には、ADCO Japan Branch office のロゴが浮き彫りになっている。


 セキュリティーゲートを通り、エレベーターで31Fのフロアに着くと、ポコは会議室のようなところに通された。ここまで案内してくれたアマナは退室し、部屋にはポコ一人だけになった。

 

 しばらくすると、アマナは男性と女性を連れ部屋に戻ってきた。

 星坂公寿郎と名乗る男と、榊乃希と名乗る女。

 名乗り終えると乃希はポコの頬に平手打ちを食らわせ、その後、膝蹴りを何発もポコの顔面に叩き込んだ。

「あが、う、がが」

 前歯が折れたポコは痛みで涙を流し、乃希の目を見た。

 乃希の目には涙がたまり、怒りを露わにしていた。


 その後、公寿郎が腹部と顔面に蹴りを食らわせ、ポコは床にぐったりと横になり動かなくなった。

 アマナがポコの体に触れると、ポコの傷と骨折は回復した。

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