60 九十八年後
「アルファ線、ベータ線、ガンマ線を引き出し、放射性崩壊を加速させる術を編み出すなんて。さすがメネド。まさか百年もかからず、放射線を除去しちちゃうんだから」
「いや、君が火星の砂漠で見つけた微生物の力も大きいよ。この微生物がいなかったら、まだ百年以上はかかっただろう」
「しかし、いつまでたっても慣れないね。まるで異星人だ。緑色の皮膚に、鱗のような葉っぱが体いっぱい。葉緑体を主とした人造体、科学と魔法の結晶だなんてルフレルさんは、はしゃいでいたけど、どう考えてもミュータントだ。気色悪さは否めない。
『これを量産して、転生すればいい』なんてとんでもないよ。時間も労力も、断然、酸素量を増やして大気を安定させた方がコスパがいいのにさ。何よりビジュアルが化け物だ。人としてなんて見られないよ。何でもかんでも新しいものを取り入れればいいってもんじゃないよね」
「ま、しょうがないよ。地球は二酸化炭素が主成分だから。今はこれに頼るしかない。さっさとこの仕事を終わらせて、みんなが住めるようにしないと」
メネドとポロは地球の砂漠のど真ん中で、巨大な魔方陣を出現させた。魔法陣からは、工作機械、掘削機械、建設機械、土木資材、宇宙服を着た火星人、二人と同じ葉緑人造体に一時転生したエア人達が現れた。
彼らは地球の各大陸で大気組成装置、大気磁場組成術補助ドーム、大気磁場組成術増幅塔、磁場重力増幅固定塔の建造に尽力し、さらに102年後、地球は火星とほぼ同じ大気組成になり、エアや火星の人々の移住が可能になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます