92 帝東大学 国際政治経済学部 炎堂ゼミ
「ワーテルローゼロ?」
「うん」
「フランス革命が?」
「そう」
「ロスタイルデがヨーロッパでその覇権を確立したのが、ワーテルローやアーヘン会議の変だと言われているけど、その土台になったのがフランス革命で、フランス革命がそれ以降の世界各国の革命と、それに伴う利権のビジネスモデルになっている。
ワーテルローの前段階として位置づけられるから、フランス革命はワーテルローゼロ」
「ふーん。面白いね」
「まず、工作員を市民、議会の各派閥、王族、貴族、イギリス側、フランス側に派遣する。工作員を使い、各グループに対立を生じさせるデマや敵対心を煽る噂を流布させる。
それぞれの派閥のキーパーソンを買収する。買収に応じない場合、失脚させたり、暗殺したりする。工作員は人と相対している時には、しっかりと味方陣営を装い完全なる善良市民を演じているから、密かに対立や暴動、血の革命をもたらそうとしているとは思われない。
そして対立が長引けば長引くほど、ロスタイルデが融資する金額も増える。ちなみに、ワーテルローの前にロスタイルデはフランスにも融資している。これは一種の保険だと思う。イギリスが勝つことはほぼ確実だったけど万が一に備えて、フランスにも融資していたんだ。
単純にフランスが勝った場合、ワーテルローで儲けた時の逆のことをすればいい。戦争に負け、破産したら国それ自体を担保として接収してしまえばいい。
結果として、ワーテルローに敗れたフランスの賠償金の肩代わりを国債発行という形で、ロスタイルデが請け負い、イギリス国債では莫大な利益を上げた。
国の乗っ取りと、それに伴う国債に絡んだ莫大な利益の創出を、フランス革命のだいぶ前から計画していたんだ。そのために工作員を派遣し、ターゲットにした政治団体や国の対立を煽り戦争に持ち込む。各国内部に工作員が多数存在し、買収によって、貴族や政治家をも味方につけたロスタイルデは政局や戦争の動向を間接的にコントロールし、情報もいち早く手に入れることができた。
恐らくナポレオンも傀儡だと思う。もしくは途中で懐柔されたか。皇帝の地位を追いやられているにもかかわらず、あの時代では珍しく処刑されていない」
「はい。そろそろ時間です。話し合った内容を発表してもらいます」
教授の
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