127 気配
残った柱と二足歩行生物を破壊する指示を仲間に与えると、3億km先でのラファエルとウリエルの異変に気付いたミカエルは、二人の元へ向かった。
漂う複数の柱の中に、ウリエルとラファエルの波長を感じ取ると、ミカエルは二つの柱を破壊した。
「不覚でした。陽動に気付くことさえできず、
悔恨の粒子を滲み出すウリエル。
「まだ不法系外来種族がいたんだな」
「はい。二体遭遇しました」
「どこへ向かった」
ウリエルが空星に意識を向けると、ミカエルはラファエルとウリエルを引き連れ空星へ向かった。
晴れ渡る空。僅かばかりの霞んだ雲がちぎれるように空に浮かんでいる。
青空の下、二体の不法系外来種族は、二足歩行生物の創造に勤しんでいた。
二体を視認したミカエルらは忠告を前置きすることなく躊躇なく捕縛線を放った。
突然の拘束に、不法系外来種族のコントロールを離れた創出エネルギーは、行き場を失い大気を震わせた。
「ああ、やはりそうか。こうなってしまうのだな」
不法系外来種族の思念がミカエルらに伝わってくる。
「木星に勾留されるか、この恒星系から追放されるか、どちらかを選べ」
「ミカエル様、太陽系外縁周辺に何かがいます。数はおよそ1億。アンタレス方面からです。このまま太陽系内に侵入してきます」
ミカエルと不法系外来種族の会話に割り込むラファエル。
言われずとも気付いていた。2人は気づいていないが、さらに外縁部、太陽系外周からおよそ14.9億㎞にもこちらに向かってくる一団がある。アンドロメダ方面からだ。
その気配は増えていく。
上下左右、それぞれ360度方位から新たな一団の気配が次々とミカエルの知覚に捉えられていった。あらゆる方向から太陽系に向かって進む一団の気配を感じる。
その数およそ1800億。
「どうやらこの二体の相手をしている場合ではなさそうだな」
ミカエルの言葉の意味を理解し、知覚を太陽系の外へと広げるラファエルとウリエル。
「こ、これでは打つ手が」
言葉に詰まるウリエル。
遥か恒久の彼方に起因する、これだけの規模の侵略をいったいどうやって察知することができようか。
「できうる限りの仲間を引き連れ太陽系から非難しろ。私はこ奴らが追放された元の銀河に交渉する」
そう言うとミカエルは二人の前から姿を消した。
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