35 呪縛

 重力の枷から外れ上空に浮かぶ大海。木々や高層ビルの残骸、砂利がそこかしこに浮かんでいる。


 早くエアに戻らなければ。


 ここに漂っているということは、自動召喚が効かなかったのだろう。ミカエルの放った最後の禁術の影響か。

 まだ意識がはっきりしない。目に映るすべての輪郭が、滲んだ水彩画のように見える。



 混濁した意識から抜け出し、術が使えるようになるまで百年程かかったが、私はすぐにエアへ戻り、新しい肉体を取得した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る