116 仕事

「誰ですか。どこから話しかけてるんですか。外在化者?」

「人に名前を尋ねるときは、まず自分から名乗るもんだろ」

「ポコです。すみません」

「苗字は」

「ありません」

「どっから来た?」

「地球のモンゴルっていうところです」

「俺はオグノマリアだ。重力隊1203番隊を管轄してる。外在化者ってのは肉体の必要性から解放された者のことだ」

「はあ…」

「わからないなら、わからないでいい。そんなに重要なことじゃないしな。お前は

何やらかしてここに来たんだ」

 ポコの表情が引きつり沈黙が流れた。

「ま、そりゃそうだよな。とりあえずお前には、重力魔法を使って、この星の重力を増大させる作業をしてもらう」

 歩きながら話していると、目の前に螺旋状の下り坂が見えてきた。道の幅は数百メートル。螺旋の中心側に人が集まり、白く艶やかな陶器体の手から、黒や白、透明色の陽炎を勢いよく放射していた。放射された陽炎は螺旋の中心部へと流れ込んでいる。

「見ればわかる通り、皆、重力源となる重力子を魔力を使って生み出している。お前もこの列に加わりやるんだ」

「今すぐですか」

「そうだ」

「やったことないです」

「大丈夫だ。お前は…。過去の記憶を少しは覚えているだろう。その気になってやればすぐにできる。これ以上の説明はない。さっさと取り掛かれ」

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