101 再びワトソンダン館

「ふむ、その者の名前をナシェエルと?」

「そうだ」

「本当にその一人だけなのか」

「他に仲間がいるかどうかはわからない。私たちが知る限りミカエル様の仲間と思しき存在は彼一人だけだ。それ以外の人間とは会ったことがない」

 

 ジェイマスと問答するアザゼル。


「いつ来るかは特に決まっていない。予想もできない。そもそも、気づいたらいつの間にか部屋にいるので、毎回驚かされるくらいだ」

「では、今この瞬間。この部屋に現れてもおかしくはないか」

「可能性はゼロではないと思うが、時期によって頻繁に表れる時もあれば、数年間全く姿を現さない時もある。ちなみに間近で最後に会ったのは5年前だ」


 ミカエルの協力者をおびき寄せ、ミカエルサイドの実情を探ることはできないかと思案するアザゼルだったが、予測のつかないナシェエルの動きに効果的な策を見出せずにいた。

「彼らが何を考え、何を目的としているのかは本当のところよくわからない。私が言われているのは、人口のコントロールだ。減らせとだけ言われている」

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