19 若者

老人の家の前には、さっきアザゼルに殴りかかってきた男たちがいた。

「あんた強えんだな。喧嘩に負けたのは十何年ぶりだろうな」

先ほど、他の男たちを扇動し、アザゼルに真っ先に殴りかかってきた男が笑顔で話しかけてきた。

「俺、ロボルガリってんだ。山、行くんだろ。俺も連れてってくれよ」

「空は飛べまい」

何を言われているのかわからず、きょとんとした顔でロボルガリはアザゼルを見た。

アザゼルは消していた翼を具現化した。

「イピチャル様だ!イピチャル様だ!」

別の男が飛び跳ねてはしゃいだ。

「違うだろ。ちゃんと俺たちと同じで、腕は二本だろ。あんた。イピチャル様のご友人か何かなのかい。どうりで強えわけだ。最近、イピチャル様を見かけねえんだ。不安になって、空を見上げると必ず、姿を現してくれたんだが。最近、めっきり姿を見ねえ。あの方がいないと、この土地も他の土地と同じように悪魔に狙われちまう」

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