123 “それ”

 柱を破壊し柱に捕われ動けなくなった仲間を解放しながら、太陽系内を探索するウリエルとラファエル。


 宇宙空間に浮かぶ柱は小惑星ほどの大きさで、数メートル程の大きさの物もあれば、数十キロメートルの物もあった。サイズは一様ならざるとも、そのすべては長方形の立方体で薄黒い色をしていた。


 土星の公転軌道近くに二人が到達した時、大小様々な柱が連なり宇宙空間を流れて行くのが見えた。流れの元を辿ると、“それ”がいた。あまり見慣れない波長を発しながら、自らの中から柱を生み出し宇宙空間にまき散らす“それ”。


 “それ”との接触を試みるラファエルとウリエルだったが、二人の存在に気付いた“それ”は姿を消し、漆黒の宇宙空間へ飛び去って行った。


 後を追うラファエルとウリエル。


 地球へ降り立ち二足歩行の生物を創造する“それ”。

 何もない空間に現れるおびただしい数の二足歩行生物。


「おい、止めないか。誰の許可を得て創造している。この恒星系は我々、エル、ファー、ロ二オス、ゼルの統治領域であるぞ」

 “それ”に思念波を送るウリエル。


「アシュビエノイテの命において、ソシュベリュガリアの名において創造する。我は創造する。我は創造する」

 応答する“それ”。

 

「もう一度告げる。この恒星系は我々、エル、ファー、ロ二オス、ゼルの統治領域である。直ちに創造を止めよ」

 “それ”は創造を止めるそぶりを見せず、ひたすら二足歩行の生物を地上へとまき散らした。

「このまま、こちらの指示に従わなければお前を捕縛する」

 ウリエルの言葉を無視する“それ”。

 

 ウリエルはラファエルに合図をすると、捕縛線をそれに向かって放出した。

 2人から放たれる眩い光と稲妻が“それ”を絡め取り巻きついていく。

「完全に捕縛する前に一つ問おう。お前はどこから来た」

 それは暴れ、衝撃波を全体から放った。

「ウブノカリア、トボソトウルウ、モトノピュイッシュ、1333309088、10999999300、356777102、4、11、1」

「我々が使っている標準座標ではないな」

「後で解析しよう。まずはこいつを無力化しなければ」

 

 ラファエルの言葉を受けて捕縛線の力を強めるウリエル。

 二人は“それ”を捕縛し木星の中心に繋ぎ止めるとミカエルの元へ戻った。

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