65 アスキス・オフドリュウシュガ

「そうか… 動物になり果て、白痴の存在となった人間の肉体に、一万年間、転生し続けていたということか」

 男は、その先を見透かすかのように天井を仰いだ。

「彼らを救わなければ。私を地球に戻してくれ。」


「ああ、そのつもりだが、まだ、いろいろ聞きたいことがある。一応、健康診断も受けてもらわないといけない。あんたの魂がしっかり法術体に適合しているか確認しなければな。

 それと、名前を教えてくれないか。あんた、じゃ呼びづらい。私はアザ・ゼル、この星の管理運営を任されている。この二人はメネド・ラ・ママナとポロ・ダ・ガシュラ。二人とも、火星管理統制局の技術開発部、課長だ」


「アスキス・オフドリュウシュガ。地球で除染プロジェクトと、人格データ転送プロジェクトを指揮していた」

 深い溜息をこぼし、俯くアスキス。

「二つとも失敗してしまったが」

 顔を上げたアスキスは少し笑っていた。

「だが、あんた達が来てくれた。少し希望が見えてきたよ。ありがとう」

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