25 帰還
「調べたが、ここは強力な結界で守られているようだ。恐らく、イピテルが張ったものだろう」
アザゼルが言った。アザゼルとロボルガリ、オミトはアザゼルが降り立った草むらにいた。
「では戻るよ。今度は人間の姿に戻ったイピテルを連れて帰る」
そう言うと、アザゼルは両手を広げ空を見上げた。
アザゼルの目と口が光り、頭上に魔法陣が現れた。目を閉じ両手を合わせ、呪文を唱えるとアザゼルの全身が光り、上空へと吸い込まれていった。
§§§
転生堂の警備はアザゼルの事件があってから、より一層強化されていた。
アザゼルは、瓦礫の陰に隠れていた。頭上を警備天使が飛びながら巡回している。
「こっちこっち」
アザゼルが隠れている転生堂の残骸から、10メートル離れたところで、小さな男の子がしゃがんで手招きしている。アザゼルの城に住む天使の一族の子。ルフレルだった。男の子もアザゼルと同じように、残骸の陰に隠れている。
背後から足音が聞こえる。
アザゼルが隠れている瓦礫の後方から警備天使が近づいていた。アザゼルの存在にはまだ気づいていない。ルフレルがピカッと目を光らせると警備天使はその場に倒れこんだ。アザゼルはその隙にルフレルのもとに前傾姿勢で走りこんだ。
「出門印と入門印でちゃんと繋いであるな?」
アザゼルの問いにルフレルは頷きで答えた。
「アザさんが警備を引き付けている間にちゃんと唱えておいたよ。入門印もちゃんと城で開印してある」
ルフレルは自分の背後を指差した。
その先には、宙に浮かび上がった呪印が青く光っていた。
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