76 宿願

 メネドも何かを呟き始めた。


 自分たちは詠唱せず、彼らの指揮に専念するはずではなかったのか?


 この計画を早く成し遂げたいという想いの現れなのか。


 メネドの行動に違和感を覚えるポロ。


「おい。どうし…」


 メネドは呟くのをやめると、ポロの方に向き直り手の平をポロの頭上に向かってかざした。意識を失いその場に倒れこむポロ。


 ポロの体を異空間の随所に滲みだしている黒紫色の粒子が照らす。



 再びメネドは呟き始める。


 流れを変え逆流し始める魔力の奔流。魔術師たちに向かって流れていく魔力の大きな流れが逆戻りしていく。


 機械によって生み出された魔力や磁力、重力も、逆流した魔力が向かう方向へと吸い寄せられていく。


 どよめくエンジニアたちと魔術師たち、狼狽が異空間を満たしていく。



 メネドの笑い声が異空間に響き渡る。メネドの心を喜びが満たしていく。

「エル族は永遠だ」

 誰にともなく、メネドは言い放った。


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