107 身体取得

 姿は変わってもすぐにわかった。

 アリーシャ、ヘレン。

 オルコスは二人を抱きしめた。三人の頬を涙が濡らす。

 

 アザゼルたちは、三人を遠目に見守っていた。

「さてと、俺たちも新しい体、用意してもらわないとな」

 仙寿が言う。


 火星地下都市スライカサールは、魂波通信や魂波術で転送された地球人の魂で溢れ返っていた。転生術師がクローン体に魂を入れ込んでいる。


「ほとんどの魂はまだ地球に囚われたままだ。こちらに転送できたのは一千万人弱。かなり時間がない中で、ここまでの人々を火星側に送り込めたのは不幸中の幸いと見るべきか」

 そう言いながら反物質状態を解き、自分自身を具現化したアザゼルは、転生術によって、仙寿、閃、公寿郎、真太郎、乃希、輝良に体を与えた。

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