99 お務めご苦労様でした
ミカエルらとの戦闘を想定した訓練や、それにかかわる話し合いの場として使われているマンションの一室。アザゼル、公寿郎、その他の面々が集まっていた。
10年の月日の中で、公寿郎は格闘家へ、それ以外の者はADCO直轄のシンクタンク、宇宙災害対策研究所 日本支部の社員となっていた。
赤坂は晴れてロスタイルデの研究機関、工作特務機関から解放され自由の身となった。
「お務めご苦労様でした」
そう言うと乃希は空いている席に赤坂を促した。
先に集まっていた公寿郎やアザゼルたちが、赤坂の肩をたたき10年間の労をねぎらった。赤坂からこぼれた笑顔につられ微笑むアザゼルたち。テーブルには乃希が腕によりをかけた料理が並んでいた。
「じゃじゃーん。なんと公寿郎からの差し入れでーす!」
乃希はヴーヴとドンペリを両手で掲げた。
顔を赤らめた仙寿が首をかしげながらピースしている。
「早い早い! まだ乾杯もしてないのに、何飲んでそんな赤くなっちゃってるんですか?」
「チューハイ! チューハイ、飲んで皆を待ってたっつーの!」
赤坂は仙寿に歩み寄ると肩を抱いた。
「久しぶりだな。ルフレル」
右手を差し出す赤坂。仙寿もそれにこたえ握手した。
「懐かしいね。その響き。いやしかし君の働きには感謝するよ康太郎。この響きも懐かしいだろ? 今は…なんつったっけ…康真郎?」
「酔い過ぎだよ!」
笑いながら仙寿の頭を軽くたたく赤坂。
「皆、ルフレルがチューハイでつぶれる前に、ドンペリで乾杯しよう」
グラスに注がれたドンペリが皆の手に渡るとアザゼルが音頭を取った。
「この戦いが終わったら、宇宙の瓦礫となったエアを修復し、火星も緑あふれる惑星に回復させよう。あの頃のように笑顔と希望に溢れた世界を取り戻す 。今日はその門出となる第一歩だ。乾杯!」
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