8 黒い空間

 新しい空間は闇に満ちていた。

 黒い陽炎や黒い霧が立ち込めていたが、そもそも空間自体が黒いので、微妙な色の濃淡の変化で、ようやくそれが霧や陽炎なのだとわかるほどだった。


 前方に光が見える。出口だろうか。

 リアの手を取り、康太郎は歩き続けた。


 前方に見えた光は、徐々にその明るさと広がりを増し、その光の向こうに建物らしきものがぼんやりと見えてきた。

「人がいるかもしれない」

 康太郎が言った。リアは康太郎の腕をしっかりとつかむと、一歩一歩踏み出していった。


 光の向こうに見えたのは都市だった。

 高層ビルとその頭上を時折、行き交う小型の飛空艇が見えた。

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