63 地下
放射能汚染は長い歳月をかけ地下深くまで及んでいた。奇形が促進され、異形の姿になり果てた地球の住人達。
人語を解さず、話すこともできない。
とっくの昔に知性は失ってしまったようだ。
腕や足、眼球の数が多すぎたり、少なかったり、無かったり、中には骨格自体を失い軟体動物のように地面を這って移動する者もいた。
アザゼル、ポロ、メネドは言葉を失った。
移住した当初は通常の人間としての営みに溢れていたのだろう。ビルや工場などの文明の残骸が随所にそのままの形で残っていた。
「これらは、ただの動物なのでしょうか… 魂は宿っているのでしょうか」
街頭に照らされ、うごめくそれらの存在に目を向けながら、アザゼルに尋ねるポロ。
「自分で確認してみたらどうだ」
異形の存在達を凝視するポロ。
「あぁ… 入っている… 何てことだ…」
一体の異形に両手をかざすポロ。光の波が異形を包み込むと、肉体から魂が切り離され、その魂は、フワフワとポロの元へと吸い寄せられていった。
「これを連れ帰ります」
ポロの手の平で浮いている、青い光の玉は、その言葉に呼応するように輝きだした。
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