151 再会
そよ風に揺れる草原の草花。
花の匂いが微かに香る。
紗那とムム、ポポは、大の字になって空を仰いでいた。本物の空、久しぶりに感じる心地良い日差しと澄み切った空気が長旅の疲れを癒す。
青緑色の透明なシールドによって半径100㎞は守られている。ここは汚染除去が完了している。摩主楼がそう説明してくれた。
風が草原を吹き抜ける音に混じって、足音が近づいてくるのがわかった。
三人のすぐそばまで足音がやってくると、足音の主は三人を見下ろし微笑んだ。
摩主楼を見上げる三人。
摩主楼は三人をドーム型の家に招くとお茶を振舞った。
「こっちに戻ってくるつもりはないの」
紗那が摩主楼に聞いた。
「うん。お母さんもこっちに住めばいいのに。時々帰るようにはするけど」
「そう。でもこんな世界があって。行ったり来たりできることが分かっただけでも良かったわ。このこと、もっとたくさんの人に、知らせてあげたほうがいいじゃないでしょうか」
紗那がムムに言った。
「少しずつ少しずつ広まっていますよ」
部屋にこっちの世界の摩主楼の母親が入ってきた。
「いつも、コズロフがお世話になっています」
こっちの母親は紗那に向かって頭を下げた。
「いえ。こちらこそ。紗那も椅子から立ち上がり頭を下げた」
お茶を飲み、しばらく談笑した後、紗那とムムはあちら側に帰っていった。
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