45 降伏
部隊を待機させたまま、ルーシェとアザゼルはホテル、ハイアットクランベルに向かって飛んだ。
それは、まだホテルの上部に止まっている。
降り注ぐ光の雨に打たれる二人。
しかし、体は消えない。
異形の姿に変わるルーシェ。
それとの距離は数十メートル先に迫った。眼下にはスビナ市街。オフィスビルや高層マンションが立ち並ぶ。
「我を討ち取りに来たか」
乾いた声がスビナ上空に響き渡る。
「やれ。あの頃のような力はもうない。せいぜい六、七割といったところだ。あの三人もおらぬ。二人掛りでは分が悪い」
「騙されるな。罠だ」
アザゼルがそれに視線を注いだまま、ルーシェに呼び掛ける。
「わかっている」
二人はそれと距離を取ったまま、両手をかざし手の平から光を放った。鎖の形状を模していく光。それは避けることもせず、ただされるがままに拘束されていった。
「最後に我の頼みを聞いてはくれぬか」
二人は口を開かない。
「我からそなたへの贈り物だ。最上階の寝室にある。ゆっくり堪能してくれ」
それはルーシェの視線を捉え笑った。
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