88 報道
「世界各地で隕石の衝突が報告されておりますが、そのほとんどは、人口密集地以外に落下し、大きさもチリほどのため、大きな被害は出ておりません。大部分の小惑星は、高層大気上で燃え尽き、地表に衝突することはございません。
しかし、2013年ロシアのチェリャビンスク州 隕石落下災害では、1491人の重軽傷者、4474棟の建造物被害が出ております。
1994年には木星への天体の衝突を確認。昨年は小惑星2020QGが地球の2950キロ上空を通過しております。小惑星としては、これまで観測された中で最も近い距離です。
今後、小惑星地球衝突最終警報システム
内閣官房長官が記者を前に語り掛けている。その光景をTVの画面越しに見ている、公寿郎、乃希、仙寿、輝良、閃。ここは仙寿の自宅の部屋。
「いいなあ、セン君の家はオシャレで広くて」
乃希が言った。
「俺なんか弟と一緒の部屋だよ」
輝良も言う。
仙寿はふざけた顔で肩をすくめて見せた。
笑い声が部屋に満ちる。
「しかし、隕石なんて本当に落ちてくるのかね。政府の人たちは大げさだよ」
仙寿がTV画面に映る官房長官を指差した。
「隕石が落ちてくることはない」
背後からの突然の声に5人は飛び上がった。
「もう。脅かさないでくださいよね」
「ふぅ…アザゼルさんかぁ」
「真面目な顔して絶対確信犯ですよね」
部屋の入口に立つアザゼルを仙寿が睨みつける。
アザゼルは微笑みながら仙寿の言葉を遮った。
「彼が言っているのは、名目上の話だ。実際にはミカエルたちを倒すための組織だよ」
アザゼルの視線は官房長官に注がれている。
五人とも表情が固まったままアザゼルを見つめた。
「どういうことですか?」
「彼らを説得してきた。科学者、エンジニアの記憶を呼び起こし、あの頃の技術を復活させる。そうすれば、この絶望的な状況を脱することができるかもしれない。君たちには、万が一のために、気が変わったミカエルを足止めするための戦力をつけてもらいたい」
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