131 誓い
「何をしている」
“フネ”を従えた肉体を持たない存在が、二人の前に立ちはだかっていた。
ルシファーが発生させた微小な黒点が、瞬間的に巨大な黒い質量となって“フネ”とそれを従えた者を飲み込んだ。強力な重力に囚われる“フネ”とその存在。
黒いエネルギーの濁流が連鎖するプロミネンスのように、それらを絡めとり引きずり込んでいく。
ミカエルとルシファーは、アンタレス恒星系外に向かって光速で飛翔した。
アンタレス系外周を取り囲む無数の“フネ”と、肉体を持たない存在を感知し、超強重力帯を外縁部に発生させるルシファー。うねる無数の黒い質量が、“フネ”と肉体を持たない存在を飲み込んでいく。
ミカエルの放った光線がルシファーをかすめた。ルシファーのすぐ近くまで迫っていた肉体を持たない存在が、ミカエルの放った捕縛線に捉えられ硬直している。
その一体を筆頭に、雪崩のように押し寄せる肉体を持たない存在の群れを、ミカエルとルシファーは、光線と黒い質量で薙ぎ払っていった。
数の力に圧倒される二人。
「このままでは持たない。少し時間を稼いでくれ」
ルシファーはそう言うと、押し寄せる大群への攻撃を止めた。
ミカエルは最大限の光を上下左右360度方位に照射し、止めどなく押し寄せる肉体を持たない存在を薙ぎ払い、“フネ”から発せられる疑似捕縛線を中和し続けた。
01時間04分後。
質量を
ルシファーとミカエルは、思念宇宙領域に逃れ、術の発動後に術の対象となった領域の外へ現れた。
「罪のない者まで巻き込んでしまった。しかし、当局を殲滅せずに野放しにしておく方が、罪の重さは増していく。どちらにしても罪に手を汚す他なかったのだが。いずれ戻ってきて救済せねばならない。必ず救ってみせる」
ルシファーは誰にともなく誓いを立てた。
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