第32話 八ツ山橋
昭和中ごろの秋葉原を散策する時間は無いので昭和通りに戻って南進する綾。このオートバイを借りている間はきっとこの時期をまた走ることができるはずなので、楽しみは取っておいて、国道15号線=第一京浜に入る。品川まで来ても都電は走っている。品川駅はなんだか木造でボロっとした感じである。ここからは都電ではなくいよいよ京浜急行が並走する。その先に第一京浜の新八ツ山橋があって、並走する道路を走ることは今は敢えてしないと走ることは無いのだが、進んでみると新八ツ山橋は無かった。
今見ている景色はそれでも軌道と車道は切り離されているので昭和31年よりは後なのがわかる。実は昭和31年6月よりも前ならば八ツ山橋を抜けた先は京浜急行の併用軌道が存在していたのだが、これは帰宅してから調べて綾は知ったのだが、それでも新八ツ山橋が無いのでこの道が第一京浜の現道だったのか。とそれだけでも感動があるものである。ちなみに新八ツ山橋が供用されるのは昭和39年のことなのでそれよりは前という事になる。
第一京浜と並走する京浜急行は今でこそ高架だがごみごみした街を赤い電車が地上走行する。やがて立会川と大森海岸の間に来ると踏切にて地上交差をする。これだけ幹線道路なのに地上交差するのでまだ朝はそれなりに早い時間帯でも渋滞とまではいわないが車列が出来ていた。三崎口行きの赤い電車が颯爽と走り去るまで延々と排気ガスの中に巻かれながら待つ。
「あー、早く都会から脱出したい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます