第24話 学食

 紗友里は醤油ラーメンを食べ始める。ここの醤油ラーメンはハラールである。要するに原料に豚が入ってない。というやつである。値段は370円だ。綾は紗友里のラーメンを見ながら、昭和時代にまた行ったら師弟食堂でラーメンを食べてみようと思った。値段はいくらくらいなのだろうか。上野のバイク街や神保町を散歩した時に感じた物価感覚から言うと、思ったほど差は無さそうだが。


 「綾ちゃん、今日は部活に来る?あたしは午後も授業有るからなぁ…。」


 紗友里は長い髪がラーメン鉢に入らないよう、ラーメンを啜るときは左手で髪の毛を押さえながら食べている。


 「今日はこれからバイトで夜遅くまでって話聞いていたから長い一日になりそう。」


 アルバイトの内容自体は綾も好きだからバイトしているのだが、労働という言葉で括ると労働は体に悪いのであまりしたくない。という信条を持ってる方なので、働き始めるまでは本当にしたくない。でも始めてしまえば集中するし、仕事として責任を持つタイプなので世の社会人で見るとちゃんと仕事をする部類の人間でなのだろう。

 ちょっと気が重そうな表情をしつつも、紗友里と話している時は綾も楽しい。部活が一緒で同級生なのは入学ガイダンスで席が隣で波長が合いそうだな。と直感で思ったのだが実際その直感は当たった感じである。


 「今日の午後の授業は何?」


 綾が聞くと紗友里は言った。


 「今日は選択般教(一般教養)よ。放射線物理の授業。何言ってるかわからなさそうで、怖かった先生が最初の授業に来たんだけど、次の授業で学生課の職員が来て、先生が倒れたので先生の変更が有ります。って、何かすごくない?!」


 どうやら、当初の先生は病か何かで倒れてしまって次の先生が決まってないらしい。そんなことあるのか。と綾は思った。


 八宝菜丼もハラールの醤油ラーメンもどちらもきれいになくなって幾何の時間が経過して、午後の授業まであと少しの時間になったし綾もアルバイト先に向かわなければならない時間になったので紗友里とは学食で別れた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る