第74話 3日ぶりの帰宅
綾は自宅に帰宅した。が、行きと違っていつも一人で旅の思い出に耽る時間にもう一人そこにいた。裕子だ。そう、裕子は令和6年に昭和58年に行き、昭和63年にトリップした綾と一緒に令和に戻ってきたわけだが、綾の家に帰らなければ令和に戻れない。そんなこともあって帰宅後は綾の家に一緒に入って令和に戻って後は家に帰るだけ。のつもりだったが2日間一緒にともにした仲間と帰宅の祝杯を上げたい気分にお互いなったので、今日は宅飲みで祝杯というわけだ。
「お疲れ様!裕子さん。」
裕子はちょっと寂しさがこみ上げながらも帰ってきたんだなぁという安堵とともに、改めて昭和時代にいた5年間の話や、綾と共にした2日間を日を跨ぐ時間くらいまで二人で語り合った。昭和58年から昭和63年という時代はオートバイの進化が劇的な時代で飛ばされた昭和58年はようやくカウル付きのオートバイが発売されていよいよレーサーレプリカ黎明期に入り、昭和61年にNSR250Rが発売されてシングルシートカウル風のシートになっていわゆるHY戦争の激化が始まるし、いわゆるローリング族が台頭し始める時代で良くも悪くもオートバイにとっては熱い時代だ。裕子は乗りたいが書類関係が作れないのでただただ眺めてたのが残念でRZであちこち走れなかったのが残念だったそう。とはいえ、レトロゲーム好きにはたまらないゲームセンターでアルバイトできたのでつい居ついてしまったそうだが、長野で泊まった時もレトロゲーム探しに一人で行ってしまうくらいにはマニアなのだろう。そこから延々と裕子のレトロゲーム話が始まり始めて何がなんだかわからない世界だが、ゲームとオートバイの話をしている間の裕子は子供そのものだった。初対面の時のクールで大人っぽさはなんだったのだろうかとふと思ってしまった。
初夏の夜にしてはやけに部屋が蒸し暑い。いつもは一人でひっそりしていたが、狭いアパートで2人が熱気を持って吞んでいれば蒸し暑くもなるものだ。気分転換で外を出たら令和5年の初夏。そういえば、裕子が令和から昭和に出て行ったのは令和6年の春だったからこのまま自宅に帰ると裕子が2人いることになってしまうことに気づいた。部屋に戻ってきたら裕子は結構飲んでて寝入ってしまったので綾は明日それは考えればいいか。ということで寝ることにした。明日はアルバイトも無いので大学を休んでしまえば陽子さんのお店に行ってそれから考えればいいか。と今考えても無駄な問題は先送りにする方が正解だからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます