第42話 狩野川放水路と口野切通し
三嶋大社を出た綾は早速下田街道経由で南下を始める。三島二日町あたりまではとりあえず街であったが、その先はひたすら田んぼが広がる景色だった。日もだいぶ傾いてきていよいよ夜が近づいているが、まだあと1時間以上は大丈夫だろう。5月なのでまだ稲は成長していないので、水が張られた田んぼは夕陽に照らされ輝いていた。どこまで行ってもほとんど田んぼである。伊豆にいるというよりもまるで東北にいるようだ。
大場までくるとこじんまりとした街があるが、それを過ぎると韮山の街までひたすら何もない。今でも韮山は田んぼが多い。一面田んぼらしい場所でちょっと止まって振り返ると富士山が雄大に聳え、それを水鏡が逆さ富士を見せて赤く焼けている。韮山から松原橋を右折して、二級国道136号線と別れる。さて、ここからが特に道のりが厳しそうだ。
「ふー、ここまではなんとなく予定通り来られたわね。地図を見ると、いろいろ無いわね。。。」
松原橋からは心もとない県道を走る。先ほどの一面田んぼという解放感は無いが右に田んぼ、左に森の道を抜けると突如として工事中狩野川放水路が現われた。
そう、狩野川放水路が完成したのは昭和40年7月のことなので、全く出来てないわけではないけど完成もしてない。あれだけの大規模な放水路なので完成に10年以上の歳月を掛けてるので、昭和33年の狩野川台風に間に合わなかったのが非常に残念ではあるが、それ以降大規模洪水は起きていないのはこの狩野川放水路があるからだ。
現在ならば放水路沿いに走り、口野トンネルを抜けると口野交差点を左に曲がれば内浦方面であるが、まだ放水路は完成していないので道路も完成していない。少し山を登っていくと、驚くべき光景が待っていた。
それは切通しである。口野の切通しでちょっとだけ止まってみた。伊豆は火山なので千葉の関東ローム層の切通しとは少し味わいが違っている。
「うわぁ、これはいい場所!令和時代でもまだ通れるのかなぁ?※」
旧道マニアには溜まらない場所といえそうである。口野交差点でも口野トンネルの横にもトンネルがあるが、あのトンネルを通るとこの口野切通しに出るらしい。
なるほど、あのトンネルは旧道だったのね。
疑問に思っていたものが合点がいくと気持ちがいいものである。
※現在口野切通しは立ち入り禁止です
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